IDC Japanが発表した「2017年 国内クライアント仮想化市場ROI分析」によると、2013年以降の過去5年間におけるクライアント仮想化のROIは300%を超え、高い投資対効果が実証されたという。
IDC Japanは10月4日、国内クライアント仮想化市場のROI(投資対効果)分析調査の結果を発表した。
2017年のクライアント仮想化製品のROIは383.4%、投資回収期間は10.7カ月となった。初期投資額、年次投資額、ベネフィットはそれぞれ、エンドユーザー1人当たり23万6467円(1年分)、6万2724円(1年分)、77万9127円(1年分)と算出された。
ベネフィットを、エンドユーザー、IT管理者、企業全体の3つに区分した結果、エンドユーザーのベネフィットが占める割合が最も高く、全体の65.7%を占めている。IT管理者のベネフィットは28.6%、企業全体のベネフィットは5.7%となった。
エンドユーザーのクライアント仮想化製品の使用時間は、1日当たりの平均3.9時間で、従業員へのクライアント仮想化製品の普及率(全従業員に対する、クライアント仮想化製品を使用している従業員の割合)は44.5%だった。
また、クライアント仮想化製品の導入によるベネフィットの増加効果は、エンドユーザー、IT管理者およびITスタッフ、企業全体でそれぞれ25.0%、34.1%、26.7%という結果になった。
なお、2017年は2016年と比べてクライアント仮想化システムのスケールアップ、スケールアウトなどによる投資金額の増加の割合がベネフィット(リターン)の増加割合を上回ったことで、ROIがやや低くなっており、クライアント仮想化システムにおけるストレージ性能の向上や容量拡大と、ネットワーク関連の投資が増加したことにより、1ユーザー当たりの投資額が増加している傾向にあるという。同時にベネフィット(リターン)も増加したものの、総体的にその投資分に対するベネフィット(リターン)としては、2016年より低くなった。
ROI算出に際する変動要因である、クライアント仮想化製品の使用率と、従業員への普及率は年々増加していることから、企業内での使用時間や追加導入が増加していると分析。また、IT管理者およびITスタッフの割合は、組織構造の変化、情報子会社との関連性、IT人員への投資状況などによって、毎年変動する傾向にあるという。
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