プロジェクトの大敵、「思考停止」の見破り方プロジェクトマジック(3/3 ページ)

» 2017年10月11日 11時30分 公開
[白川克ITmedia]
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6. ケリが付いたことにしてしまう

 例えばプロジェクトで難しいテーマについて議論していると、誰もが納得するスッキリとした結論というのは、必ずしも出てこないものです。そういうときに、よくある思考停止のパターンが、取りあえずの結論で(モヤモヤした感覚のまま)「ケリが付いたことにしてしまう」というものです。

 ケンブリッジでは、こういうときのために、「何に引っ掛かっているのか、今すぐ言語化できなくても、モヤモヤしていること自体をまずは表明しよう」というルールを採用しています。

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 そうすると、特に若手メンバーが「ちょっとモヤっているんですが……」と議論を止め、それをきっかけにもう一歩深く議論をするといったことが起きるのです。

 逆に、そういう違和感をあまり拾わずに「それは済んだ話だから」と、スパンスパンと見切る人もいます。その人が完璧に先を見通せているならばそれでいいのですが、無意識レベルで、「本当は立ち止まって議論した方がよいのだが、もう考えるのを止めたいからケリが付いたことにしよう」という意識が働いているケースもあるのです。

 「それ、もう終わった話でしょ」や「意見としてまとまっていないなら発言するな」といった発言も、これと類似したもので、実は思考停止への欲望かもしれません。

7. 「○○が決まってないので検討できない」

 例えば、「予算が決まっていないから、スケジュールは検討できない」「システムが固まっていないから業務設計ができない」といったように、方針Aと方針Bが「ニワトリとタマゴ」状態になっているのは、プロジェクトではよくあることです。

 方針Aが決まらないと、方針Bが検討できない。一方で、方針Bが決まらないと、方針Aも検討できない――。こういう場合は、無理やりAの仮案を作り、Bに当てはめ、そのフィードバックを基にもう1回Aを考え……と、往復検討をするしかありません。Bの仮案を先に作る場合もあるでしょう。

 それは、少し考えれば分かるはずなのですが、それにもかかわらず、特にAとBの担当者が別人の場合「○○が決まってないので検討できない」というのが考えない言い訳として多用されるのをよく目にします。

 「方針Aが1に決まるなら、方針Bは2、方針Aが3なら4」というふうに事前に考えている人はほとんどいません。「方針Bの立場からは、方針Aは1ではなく、2であってほしい」といったことを考えている人もまれです(もし考えていたなら、ああいう言い訳はしないでしょう)。


 「ルールなので」「準備不足でした」「○○が決まってないので検討できません」といった言葉を聞くと、僕のアンテナは「思考停止ワードかな?」とピクリと反応してしまいます。繰り返しになりますが、言っている本人には悪気はなく、サボっているつもりもないのです。単なる習慣なのです。でも、それが仕事のブレーキとなり、検討の穴にもなります。注意したいものです。

著者プロフィール:白川克

book 『会社のITはエンジニアに任せるな!』

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズのコンサルタント。ファシリテーションを使ってプロジェクトを成功させるのが得意。

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