各サービスが強みとする機能を利用し合い、自前だけでは容易に実現できない価値を生み出す「APIエコノミー」。どのようなシーンで役に立つのでしょうか。
スマホアプリで配車手配ができるサービス「Uber」は、他社のアプリに配車手配ボタンを追加できるAPI(Application Programing Interface)を公開し、店舗やプレースポットを検索する「Foursquare」は、それを利用して、場所を指定しなくても自前のアプリの位置情報を使ってUberを呼び出す機能を提供しています。
このように各サービスが強みとする機能を利用し合い、自前だけでは容易に実現できない価値を生み出すために、自分たちが提供するサービス機能を他のサービスからでもインターネットを介して利用できるようにしたのがAPIです。
APIとは、本来ソフトウェアから別のソフトウェア機能を呼び出して利用するための方法です。それをインターネットで提供されるサービスから他のサービス機能を利用できる仕組みにまで解釈を広げて使われるようになりました。
API提供企業は、他社が利用してくれることで、サービスの提供範囲が広がり、新規顧客が獲得できるようになります。利用企業も魅力的な機能を自前で開発しなくても、すぐに自社サービスに組み込めるようになります。このようなAPIをお互いに利用できるエコシステムを「APIエコノミー」と呼んでいます。
APIエコノミーは、Uberにとどまりません。例えば、中小企業の会計管理を行うクラウドサービスが、ユーザーの同意を得た上で日々の売上帳簿のデータを地方銀行に提供することで融資のための与信を迅速に行えるようにする、あるいは自動車会社が、自動車に搭載されたセンサーから運転データとして損害保険会社に提供し、運転の丁寧さや走行距離、走行地域などのデータに基づいて保険料率を変動させる保険を提供する――といったサービスが実現しています。
特に金融機関が、残高照会、入出金明細照会、口座情報照会といった情報や、資金移動に関わる情報を提供するAPIを提供するようになると、金融サービスの新たな可能性が開けるとの期待が寄せられています。
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