「世界一売れるフィナンシェ」として、3年連続でギネス記録に認定されたアンリ・シャルパンティエ。POSデータも整備されていなかった状態から、最近では、人件費なども含めたデータ収集や管理が進んでいる。それを指揮するのは“元ベテラン店長”だ。
フランス発祥の焼き菓子である「フィナンシェ」。だが、このお菓子を世界で最も販売しているのは日本の企業というのはご存じだろうか。
シュゼットが展開する「アンリ・シャルパンティエ(HENRI CHARPENTIER)」は、2017年10月に「世界一売れるフィナンシェ」として、3年連続でギネス記録に認定された。その販売数は年に2400万個を超えるというから驚きだ。しかし、そんなシュゼットもIT面ではさまざまな課題を抱えていたという。
同社は、洋菓子店の「シーキューブ」も含めて、百貨店の地下フロアを中心に約115店舗を設置している。その労働力の多くをパートやアルバイトが担っているが、彼らの管理には苦戦していたと、システム導入を統括する森田浩幸さんは話す。
「シフトは月2回、店舗ごとに店長がExcelで作成していたのですが、お菓子の売れ行きは日によって変わるため繁閑に合ったシフトを組むのが難しく、人件費が予測できなかったのです」
この問題を解決しようと、森田さんが動いたのは2015年の秋ごろ。POSシステムの導入が一段落し、シフト作成のツールを検討していたという。
当時は、各店舗の店長が月に2回、Excelを使ってシフト予定を製作し、エリアを統括するマネージャーに提出。そして各ファイルを統合して本部に提出――というように、数々のステップを踏む必要があり、全てのデータが会社に集まるころには、作成したシフトの時期が始まってしまうという状況だった。そのため、勤怠の実績を入力してからでないと、アルバイトが足りているかどうかも分からなかったのだ。
そこで森田さんは人事コンサルタントと協力し、8社くらいのアプリケーションを試してみたが、何ともしっくりこない。そんなときにリクルートの人に出会い、SaaS型サービス「シフオプ」の話を聞き、導入を即決したという。「POSデータを取り込み、売り上げと人件費の連携ができる、という将来性が魅力的でした」(森田さん)
こうして5店舗で半年ほどテスト導入を行い、2016年秋からシフオプの全店導入に踏み切った。自身も店長を10年以上経験し、Excelでのシフト管理の課題を理解していただけに、スムーズに導入が進むかと考えていたが、そうはいかなかった。
「機能がいいため、受け入れられるだろうと思っていたのですが、そう簡単には進みませんでした。今となっては、乱暴に進めてしまった部分もあるなと、反省している部分も多いです」と森田さんは振り返る。現場の店長と店舗を統括するマネージャーの中に、新ツールに難色を示す人がいたのだ。
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