「一度開発して10年塩漬け」は過去の話に アジャイルを加速させる「超高速開発」本当はうさんくさくない、超高速開発のリアル(2/4 ページ)

» 2018年04月10日 12時00分 公開

2020年に向けて、超高速開発手法の導入が加速する?

 2020年には、東京五輪が開催されます。世界中のメディアが日本に注目するこのタイミングで、多くの企業が自らの先進性をアピールするために、AIを満載したサービスをリリースすると予想されます。

 対外的には華やかな話ですが、実はここに問題があります。「AIの導入に合わせた大きな業務改革が伴う」ため、旧世代のエンタープライズシステムも、アップデートする必要が生じるのです。

 「東京五輪に間に合わせる」のは、経営陣からの号令になるでしょうから、否が応でも超高速開発の手法を適用しないと間に合わない、という現実に直面します。これまでかたくなに人月制度を死守してきたSIerも、顧客の要望に応えるためには、「背に腹はかえられぬ」ということで、超高速開発に乗り出すことでしょう(今回は「数年後を予測」した話なので、あえて思い切った言い方をしています。現在の超高速開発のメリット・デメリット、有効な適用基準については過去連載をご参照ください)。

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 このスケジュールから逆算すると、2018年中には多くのSIerが、自社が扱う超高速開発の手法をサービスメニューに取り入れるはずです。実際のところ、国内大手SIerはこれまでも超高速開発の手法でいくつかの案件を実験的にこなしてきました。2018年は、その経験を大々的にアピールし、超高速開発を新規案件獲得のための差別化サービスとして位置付けることになるでしょう。

 この仮説には、「AIの普及に伴う大きな業務改革が不可避」という前提があります。これはどういうことでしょうか。

 産業革命以降の機械化によって、私たちの仕事内容は大きく変わりました。これまで人がやっていた労働を機械が担うようになったことから、私たちの仕事はサービス分野へシフトしたのです。例えば米国の2016年の調査では「事務処理や管理支援」といった業務が労働人口全体の16%を占めています。その次に多いのが「販売」で、これも11%となっています。

 すでに販売に関する業務は、Webの浸透で様変わりしつつあります。今後ますます普及するであろうAIの導入によって、これらの業務の多くが自動化の対象になります。

 ところが、既存のエンタープライズシステムは、人がデータを入力することを前提にしていました。また、長年、改修に継ぐ改修で保守してきた結果、ちょっとしたビジネスルールの変更も影響範囲の調査が必要となり、迅速に対応できないといった問題を抱えています。

 RPAは、このようなシステムを温存する一時しのぎの技術としても有効ですが、本質的には、PPAを使って、「人がより付加価値の高い業務に集中できる環境を整備した企業」が有利になります。

 このような外圧によって、エンタープライズシステムが「解体と再構築に迫られている」というのが、先に述べた「大きな業務改革」の根拠です。

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