分析については「多様な分析ニーズへの対応」や「企業や業界を超えたデータ利活用の促進」がポイントになると指摘。多様な分析ニーズへの対応については、NTTグループで開発し展開している自然言語処理AI「COTOHAシリーズ」(図2)が中核を担う。庄司氏によると、「COTOHAの主要機能についてはパートナー企業にも活用してもらえるように、2018年度上期中にAPIを公開する予定」とのことだ。
また、パートナーとの連携については、図3が最近の目立った動きである。さらに、同氏は今後の目標として「xTechによるイノベーションと業界ごとの情報をAPIで結ぶ“データ流通基盤”の役割を果たしていきたい」と大きなビジネス構想を語った。(図4)
以上が、NTT Comの2018年度のサービス事業戦略だが、筆者が最も注目したのは、キーワードとしてこれまで前面に押し出してきた「クラウド」を、今回「データ利活用」に変えたことである。
過去2年、同社が同時期に開いた事業戦略会見の内容を本コラム連載から引き出してみると、まず2016年4月18日掲載の「NTT Comはクラウド市場で“ITジャイアント”に勝てるか」では、当時の戦略について庄司氏は次のように語っている。
「“ITジャイアント”といわれるグローバルベンダーと、クラウド事業でしっかりと渡り合っていけるようにしたい」
そして、2017年4月17日掲載の「NTT Comがクラウド戦略を転換 その真意は?」では、同様に次のように語っている。
「企業システムのクラウド化ニーズは高まってきているが、一方で、いったんクラウドに上げてみたものの、オンプレミスに戻すケースも見受けられるようになってきた。どうやらオールクラウド化だけが唯一無二の正解ではなく、オンプレミスとクラウドのハイブリッド利用がこれからの中心になるのではないか」
見ての通り、過去2年の事業戦略は、力の入れどころこそ変わっているものの、キーワードはいずれも「クラウド」である。それが今回 「データの利活用」になったのはなぜか。その背景については先述した通りだが、それとともに図4のようなビジネス構想を描くようになったからだと推察される。
もともとのネットワークからクラウド、そしてデータの利活用へ――。NTT Comの戦略キーワードの変化は、デジタル時代への移り変わりを物語っているといえそうだ。
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