この場合も開発会社に支払う保守費用は発生しません。保守費用も継続すれば大きな出費になります。ロボットの数が増えれば、それに応じて保守費用の増額も求められるでしょう。ロボットをたくさん作って業務を効率化しようとすると、逆にその維持や保守のコストが膨らむ、という新たな問題に悩まされることになるのです。
昨今はさまざまな企業がRPAを導入していますが、作ったはいいものの、その後のメンテナンスまで手が回らず、結局使われなくなってしまったというロボットも、実際は少なくないのではないかと思います。
3つ目のメリットは、ロボットを活用した効率化のアイデアが生まれやすくなることです。
与えられたロボットをユーザーという立場で使うだけでは、自分の業務が自動化されたことは分かっても、どのようにロボット化されたのかを理解するのは難しいでしょう。その点、自分でロボットを作れば、業務を自動化する仕組みを理解できるので、自身の業務知識と結び付けて、「それだったらあれもできるんじゃないか、これもできるんじゃないか」と実現性の高いアイデアがひらめくようになります。
ロボット化に挑戦することで、現行の業務を見直すきっかけにもなります。ロボットを作りやすくなるように、業務プロセスのムダを省き、より効率を上げようとい意識が働けば、それはもう業務改革の本丸に着手していると言っていいでしょう。RPAは業務改革のための一手段に過ぎません。本当に達成すべきゴールは、ツールを使いこなすことではなく、業務をよりよく変えることなのですから。
ここまで、ソフトウェアロボットを“自作”することのいい面ばかりを書いてきましたが「そもそも、本当に自分なんかがRPAのロボットを作れるの?」と思うかもしれません。そういう場合は、ユーザー自身にロボットを作成してもらうことをコンセプトにしているソフトウェア会社に声をかけてみるのはいかがでしょう。最近では、デモを見せてもらうことも比較的容易ですし、RPA製品を比較するWebサイトも出てきています。
ロボットの自作において、最も高い“壁”は「あなた自身が新しいことに取り組むための時間を創出する」という点だと思います。
RPAに目をつけ、その魅力を感じた人は、少なからず、定期的に繰り返される作業に忙殺されているのではないかと思います。そのまま多忙な日々を送り続けるか、より生産性や創造性の高い業務へシフトするか。行動を起こさなければ何も変わりません。
さて、次回は実際にRPAの導入にどう取り組んでいけばいいのか。プロジェクトの進め方についてお話ししたいと思います。お楽しみに!
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