「この業務を自動化したい」――そう願うあなたが、RPAを開発するべき“3つの理由”RPAで始める業務自動化のススメ(5)(2/2 ページ)

» 2018年06月04日 08時00分 公開
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 この場合も開発会社に支払う保守費用は発生しません。保守費用も継続すれば大きな出費になります。ロボットの数が増えれば、それに応じて保守費用の増額も求められるでしょう。ロボットをたくさん作って業務を効率化しようとすると、逆にその維持や保守のコストが膨らむ、という新たな問題に悩まされることになるのです。

 昨今はさまざまな企業がRPAを導入していますが、作ったはいいものの、その後のメンテナンスまで手が回らず、結局使われなくなってしまったというロボットも、実際は少なくないのではないかと思います。

メリットその3:業務効率化のアイデアが生まれやすくなる

 3つ目のメリットは、ロボットを活用した効率化のアイデアが生まれやすくなることです。

 与えられたロボットをユーザーという立場で使うだけでは、自分の業務が自動化されたことは分かっても、どのようにロボット化されたのかを理解するのは難しいでしょう。その点、自分でロボットを作れば、業務を自動化する仕組みを理解できるので、自身の業務知識と結び付けて、「それだったらあれもできるんじゃないか、これもできるんじゃないか」と実現性の高いアイデアがひらめくようになります。

 ロボット化に挑戦することで、現行の業務を見直すきっかけにもなります。ロボットを作りやすくなるように、業務プロセスのムダを省き、より効率を上げようとい意識が働けば、それはもう業務改革の本丸に着手していると言っていいでしょう。RPAは業務改革のための一手段に過ぎません。本当に達成すべきゴールは、ツールを使いこなすことではなく、業務をよりよく変えることなのですから。

photo 自分自身でRPAを開発することの3つのメリット(筆者作成)

作業に忙殺されるか、行動を起こすか

 ここまで、ソフトウェアロボットを“自作”することのいい面ばかりを書いてきましたが「そもそも、本当に自分なんかがRPAのロボットを作れるの?」と思うかもしれません。そういう場合は、ユーザー自身にロボットを作成してもらうことをコンセプトにしているソフトウェア会社に声をかけてみるのはいかがでしょう。最近では、デモを見せてもらうことも比較的容易ですし、RPA製品を比較するWebサイトも出てきています。

 ロボットの自作において、最も高い“壁”は「あなた自身が新しいことに取り組むための時間を創出する」という点だと思います。

 RPAに目をつけ、その魅力を感じた人は、少なからず、定期的に繰り返される作業に忙殺されているのではないかと思います。そのまま多忙な日々を送り続けるか、より生産性や創造性の高い業務へシフトするか。行動を起こさなければ何も変わりません。

 さて、次回は実際にRPAの導入にどう取り組んでいけばいいのか。プロジェクトの進め方についてお話ししたいと思います。お楽しみに!

著者プロフィール:吉丸新一郎

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 KPMGコンサルティング株式会社 Digital Labor & Transformation シニアコンサルタント。RPA/AIを中核とするデジタルレイバー(仮想知的労働者)を活用してクライアントの業務改革を支援。

 製造業システム子会社でのデータセンター事業企画・運用、ベンチャー企業での新規事業開発および運用、外資系ソフトウェアメーカーのプロフェッショナルサービスを経て、メーカーとユーザー両方の視点を持つコンサルタントとして現業に従事、現在に至る。

 趣味は音楽鑑賞(ジャズやクラシック)や歌舞伎やオペラの観劇など。旅行が好きで、食べ歩きが得意ジャンル。

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