企業における既存システムのクラウド化について、AWSジャパンの長崎忠雄社長が自社イベントの講演で5つの支援策を打ち出した。IT業界でも“アマゾンエフェクト”の脅威が現実味を帯びてきたかもしれない。
米Amazon Web Services(AWS)の日本法人であるアマゾンウェブサービスジャパンが5月30日から3日間、年次イベント「AWS Summit Tokyo 2018」を都内ホテルで開催した。筆者もここ4年続けて取材しているが、クラウドサービスのトップベンダーだけあって規模も来場者数も回を重ねるごとに拡大しており、いま最も勢いを感じるプライベートイベントである。
初日の基調講演では、AWSジャパンの長崎忠雄社長による事業の方向性や新サービスの話とともに、金融、通信、自動車などの業界からAWSユーザーが登壇し、それぞれ先進の活用事例を紹介していた。その中で、長崎氏が事業の注力ポイントとして説明に最も時間を割いていた「既存システムのクラウド移行に向けた5つの支援策」の内容が興味深かったので、今回はこの話を取り上げたい。
まずは、図1をご覧いただきたい。長崎氏によると、図の左側にあるように、既存システムをオンプレミスからクラウドへ単純に移行しただけでも維持コストは下がる。ただ、「それではクラウドのメリットを十二分に享受できていない」という。なぜならば、図において右側へ移っていくように、インスタンスの最適化や拡張性の確保、運用やアプリケーション、ストレージなどの最適化を図れば、維持コストはさらに下げられるからだ。
長崎氏は「この図におけるプロセスを繰り返すことによって、コストがさらに下がる一方で、生産性が上がっていく。そうすると、スタッフのモチベーションも上がり、よりビジネスにインパクトを与えられる部分にリソースを投入できるようになる」と説く。そして、「こうした企業の取り組みを、AWSは創業以来12年間、支援し、学んできた。そこで培ったノウハウを基に、既存システムのクラウド移行に向けた5つの支援策を、いま、打ち出している」と述べた。以下、1つずつ紹介していこう。
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