働き方改革は、経営層の固定観念を壊す「攻城戦」 君たちはその「参謀」になれエバンジェリスト澤氏が伝える「意識改革」(1/4 ページ)

社会的な関心が高まる一方で、現実はイメージと全く違うものになってしまうことも多い「働き方改革」。どうすれば本当に改革できるのか。日本マイクロソフトのエバンジェリスト澤氏は、そのための動き方を、経営層の固定観念を崩す「攻城戦」に例えて説明した。

» 2018年06月08日 09時30分 公開
[柴田克己ITmedia]

 社会的な関心が高まる一方で、現実はイメージと全く違うものになってしまうことも多い「働き方改革」。本当の改革を起こすため、情シスやエンジニアといったITエキスパートは何をすべきなのか――日本マイクロソフトが2018年5月に開催したイベント「de:code 2018」で、同社マイクロソフトテクノロジーセンター長の澤円氏がその解決策を語った。

 澤氏は講演の冒頭に、会場に3つの質問を投げ掛けた。

  1. AIやIoTやRPAの活用を、自分の会社の経営層やマネージャーは正しく理解していると思うか
  2. 開発の大変さを自分の会社の顧客や経営層は正しく理解していると思うか
  3. 世の中はソフトウェアで動いていると思うか

 それぞれの質問に挙手を求めたところ、最初の2つは手を挙げた人は少なかったものの、最後の質問には大多数の人が手を挙げた。

 「世界はソフトウェアで動いている」のは事実。それなのに、多くのITエキスパートは「われわれが世界を創造していることを、経営者や顧客はなぜ理解できないのか」と不満を抱えていると澤氏は指摘する。

photo 日本マイクロソフト マイクロソフトテクノロジーセンター長の澤円氏

変革を進めたいのに、進まないという「矛盾」

 実際、世界の企業を見渡せば、デジタル技術で新たな価値を生み出していく「デジタルトランスフォーメーション」は、あらゆる分野で不可避なものとなりつつある。自社でも、経営層を含む社員のほとんどが日常的にスマートデバイスを使い、ITの恩恵を受けているだろう。「生産性を向上しよう」という声に反対する人もいないはずだ。

 にもかかわらず、現実では、AIやIoT、RPAといったトレンドワードのみが一人歩きし、さまざまな要因で、デジタル変革や生産性向上の取り組みがスムーズに進まない。この状況は明らかに「矛盾」している。

 この矛盾を解決するため、ITエキスパートがステークホルダー全員を「正しい方向に導く」必要があると澤氏は強調する。それには、正しい知識を伝えるだけではなく、相手の持つ「固定観念」を変えていくことが必要だという。

 「今日、このセッションに来ていただいた皆さんには、経営層やCIO(最高情報責任者)、お客さまのキーマンにとっての『参謀』になってほしい。参謀として攻め込むべきは、経営層やキーマンそのものではなく、彼らの『固定観念』。相手の強固で危険な思い込みを、いかにして柔軟なものへと変えていくかが、勝敗のカギを握るのです」(澤氏)

 参謀とは、合戦の際に軍全体が正しい方向に進むことができるよう、戦略を立案する役割を担う。ITエキスパートにとって、経営層や顧客の参謀となる仕事は「絶対に面白い」と澤氏は訴える。

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