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» 2018年08月17日 07時00分 公開

CSIRT小説「側線」 第6話:海にて(前編)CSIRT小説「側線」(2/5 ページ)

[笹木野ミドリ,ITmedia]

 ――志路さんと見極さん、なぜあんなに荷物を持って来たのだろう。見極さんはなぜミリタリーな服を着ているんだろう。この夏の盛りに暑くないのかしら。(深淵)大武に到っては長い筒のような物も持って、やたらポケットが多い服を着ている。この人たち、何をするつもりかしら。

 メイは不安になって聞いてみた。

 「見極さん、大荷物ですね。何が入っているんですか?」

 「PCや、それに付随するもの一式だ。どこで何があるか分からないからな」

 「同感だ」

 志路も同じく、にやりとしながらバッグを開けてPCを見せた。

 「でも、代わりの人が会社にいますよね」

 「気持ちの問題だ。それに、いざとなればここを対策本部にすればいい」

 ――まぁ、そうなんですけど。ここに来た時くらい楽しんだら? とメイは思った。

Photo 羽生つたえ:前任のPoCの異動に伴ってスタッフ部門から異動した。慌ててばかりで不正確な情報を伝えるため、いつもCSIRT全体統括に叱られている。CSIRT全体統括がカッコイイと思い、憧れている

 タクシーがまた、着いた。山賀と大山らしき女の人が降りた。

 「大山です。遅れてすみません。よろしくお願いしまーす」

 「いーや、皆来たばかりだよ?」

 大河内が声を掛ける。

 「それじゃ、始めましょうか。まだ早いから、最初は自由行動。13時に集合かしらね」

 山賀が言うと、それぞれが「ふぁ――い」と抜けた返事をした。

 「あたし、海行きたーい。更衣室はどこ? 潤、いこ!」

 「更衣室は、今、サーファーのお姉ちゃんが出て来たところ」

 大河内が応える。

 屋外のシャワー施設の隣にある部屋から、髪を縛った黒ビキニのサーファーが出て来た。

 部屋が空くと同時につたえは更衣室に飛び込んだ。

 「もう、あの子、気が早いわねー」

 メイが呟く。

 先に潤が出て来て、つたえを待っている。

 しばらくして、つたえが出て来た。フレアトップの花柄の水着だ。

 潤、つたえが待ちきれないようにビーチに降りていった。

 「あらあらあら。若いっていいわねー」

 山賀が言う。

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