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» 2018年10月25日 07時00分 公開

Teradata Analytics Universe 2018:プリンタの故障、修理のコツは「データが教えてくれる」――ある製造企業が仕掛ける生き残り策とは (1/2)

法人向けの印刷機を製造、販売する理想科学工業では、データ分析を使って現場の社員が「次にとるべきアクション」を効率的に可視化する取り組みが始まった。その結果、現場では思わぬ効果が出てきたという。

[高木理紗,ITmedia]

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 日本の製造業の危機が叫ばれて久しい。差別化要素だった“品質”が中国や韓国に迫られている今、特に中小企業においては、生き残りを懸けた変革を迫られている企業も少なくない。そんな中、データ活用に踏み出す覚悟を決めた企業がある。1946年に創業し、主に企業や学校などの法人にインクジェットプリンタやデジタルプリンタ、その部品などを販売する理想科学工業(以下、理想科学)だ。

 機械の修理を依頼された新人のエンジニアがブラウザを開き、故障の種類や壊れた部品のコードを入力すると、「持って行くべきもの」「やるべきこと」を分かりやすく示すように、顧客の満足度が高かった修理内容や部品のトップ10、作業にかかった平均時間などが一覧で表示される――そんなBIツールを、データ分析を使って自社向けに開発したのだという。

photo 理想科学工業の情報システム部でデータ分析プロジェクトを担当する庄司朋子さん

 同社では2017年から、過去データを分析することで、販売したプリンタのメンテナンスや修理に当たるフィールドエンジニアや営業などの社員向けに、それぞれの顧客や依頼の内容に応じて対応のヒントを提供する取り組みを始めた。それを後押ししたのが、経営環境の変化だ。

 データ分析プロジェクトを担当する庄司朋子さんは、「製造業全体を取り巻く環境が厳しくなっていますが、わが社の場合も、少子化や業務のデジタル化、ペーパーレス化などの事務機器業界全体を取り巻く変化に対応すべく、業務の見直しや効率化が必要でした。

 もともと、客先に置いたプリンタのセンサーデータや修理記録、顧客とのやりとりを10年以上データウェアハウス(DWH)に蓄積していました。しかし、分析する設備がないまま放置していたため、『これを活用して現場の業務改革をしたい』と思ったのが、分析を考え始めたきっかけです」と話す。

「とるべきアクションが一目で分かる」BIツールを開発

 その際、「過去のデータをただ見るだけではもうダメだ。そこから未来の判断を引き出すようなレベルで活用したい」と考えた庄司さんは、分析のニーズを把握しようと、情報システム部から全社規模のPoC(Proof of Concept)を展開。その結果を踏まえ、2017年10月から半年をかけて開発したのが、顧客満足度が高かった修理記録(ベストプラクティス)の検索ツール、顧客の離反予測ツール、それぞれの顧客に向けた最適なアクションとタイミングを可視化するツールだ。

 修理記録の検索ツールは、全国各地にあるプリンタの修理やメンテナンスに当たるフィールドエンジニア向け。冒頭に書いた通り、故障の種類などによって、過去に用意して役立った部品や修理内容が一目で分かるので、「用意すべき部品を把握できず、プリンタの修理が数回に及び、顧客の満足度が下がった」といった事態を防げる。

photo 修理のベストプラクティスを検索するツールの様子(画像提供:理想科学工業)

 顧客の離反予測ツールは、それまでのやりとりを基に、他社製品に流れてしまう「離反リスク」の高さによって顧客リストを色分けして表示する。これにより、担当営業やフィールドエンジニアがケアすべき顧客がすぐに分かるようになる。また、各顧客向けに「30日以内にプリンタのメンテナンスを」といった必要なアクションとタイミングを可視化するツールは、期日を過ぎると各アクションを示すアイコンの色が緑から黄色や赤に変わるなど、現場担当者にとって分かりやすいデザインを意識している。

photo 顧客の離反予測ツールの様子(画像提供:理想科学工業)
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