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» 2018年11月05日 07時00分 公開

エンプラこぼれ話:NEC製AIが開発、“バブル崩壊味”のチョコレートを実際に食べてみた (3/3)

[高木理紗,ITmedia]
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 「実際にチョコレートを制作してから味が練れるまで、ものによっては時間が必要です。例えば、『バブル崩壊味』の場合、その味の本質が全面的に分かるまでには、数カ月待った方がよいかもしれません」(伴野さん)

 ある出来事の歴史的な意味が、すぐには明らかにならないように、チョコレートで表現されたそれぞれの「年」の味も、時間を置くことで初めて分かってくるのだという。

 また、思わぬ形で新たな味を制作することになったダンデライオン・チョコレートでは、今回の開発をきっかけに、今までになかったアイデアを広げているという。

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 「実際にプロジェクトに挑戦してみると、10代から40代まで、さまざまなスタッフが記憶をシェアしながら作業するのは新鮮でした。また、創業者はもともとIT業界にいた人たちなので、本社からも『面白いじゃない!』と、食いつくような反応をもらえましたね。今回の経験を生かして、これから映画や音楽をチョコレートの味で再現するようなコラボレーションができるのではと考えています」(伴野さん)

「AIが人の創造性を引き出す」未来は来るのか?

 一方で、NECの茂木さんは「まさに、その点が今回のプロジェクトで目指していた場所の一つ」と語る。

 「普段、AIは『人の仕事を奪う』などと言われがちです。確かに、AIを使って人がやっていた仕事を代替することはある。しかし今回のプロジェクトでは、逆にAIが人の創造性を引き出すようなコラボレーションがしたかった。この方向性を守りながら、今後も新しいことを続けていきたいと考えています」(茂木さん)

 IT企業が手掛けるAIと、チョコレート制作の専門家が本格的に手を組んだ今回のプロジェクト。試食会には、記者のようなテクノロジー系だけでなくグルメを専門にする記者も多く訪れていた。

 ちなみに、伴野さんが「5種類の中でも一番の自信作」と語るのは「2017 イノベーションの夜明け味」。平成の終わりを表したとのことで、他の4つにはないスパイシーな香りと一緒に酸味と甘みが広がる、軽やかで刺激的な味だった。AIと味のコラボが増えていけば、将来は自分の好きな年をチョコレートにできる時代が来るかもしれない。ちなみに記者が生まれたのは1988年、ほぼ昭和最後の年だ。AIに作らせたら一体どんなチョコレートになるのだろう?

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