同社は、Memory Driveを用いることで、最大8倍のメモリ増設効果があるとしています。
下記が、Western Digitalが示しているMemcachedを用いたベンチマークの結果です。一番左にある紫のマーカーが、768GBの物理メモリを搭載しているサーバの性能として1080tps(transactions per second)を示しています。真ん中の青いマーカーは、192GBの物理メモリにMemory Driveを用いて、768GBメモリ相当にしたサーバの性能で983tpsを示しています。
一番右にある黄色のマーカーは、96GBの物理メモリにMemory Driveを用いて、768GBメモリ相当にしたサーバの性能として918tpsを示しています。
Memory Driveの最大のメリットは、安価なNVMe SSDを用いることで、あたかも高価なDRAMを何百GBも購入するのに近い性能を得られる、コストパフォーマンスの高さにあります。
これまでも、SSDを用いてメインメモリを疑似的に拡張する試みはありましたが、一般にSSDに用いられているNAND型フラッシュメモリは、DRAMと比べて桁違いに遅いため、DRAMを置き換えられるほど、十分な性能を引き出すのは難しいと考えられてきました。あるいは、特別な変更をアプリケーションに加える必要がありました。
だからこそ、Intelが2019年に本格出荷しようとしている「Intel Optane DC persistent memory」は、DRAMよりも遅いながらも、NAND型フラッシュメモリよりも高速な3D XPointを用いているわけです。そしてそれ故に有望だと考えられています。
今回のWestern Digitalが発表したMemory Driveは、そのSSDの遅さをソフトウェアによるプリフェッチを高度化させることで解決しようとしている点が、これまでにない点といえそうです。
この記事は、新野淳一氏のブログ「Publickey」の記事「メモリ容量を最大8倍に拡張してくれるNVMe SSD。Western Digital『Ultrastar Memory Extension Drive』発表」を許可を得た上で転載、編集しています。
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