インタビュー
» 2018年11月28日 08時00分 公開

「可能性」から「弱点」までを徹底解説:ブロックチェーンは決して“万能”ではない──ビジネス活用に必要な理解とその本質 (2/4)

[大内孝子,ITmedia]

 このデータ改ざんへの耐性が、価値の保存や移転の容易さにつながる。お金のやりとりなどは特にメリットが分かりやすい。例えば、国際送金を行う際は、一般的に銀行間ネットワークを中継して行われるため、どんなに早くても数日はかかるし、手数料も高くつく。

 一方、ブロックチェーン上の仮想通貨であれば、取引を管理する中央組織がないため(介する必要がないため)、法的な面はさておき、すぐに送ることができ、手数料もほぼかからない。ビットコインが当初、注目されたのも取引の容易さがあったためだ。

ブロックチェーンのビジネス活用、可能性は無限大?

photo LayerX CTOの榎本悠介さん

 お金に限らず、ブロックチェーン上に登録する情報次第で、使い道は無限に広がる。土地の所有権を示す登記簿を記録するならば、土地を管理する中央機関が信頼できない場合(日本では、政府が信頼できるのでぴんとこないかもしれないが)、土地の所有権という価値を保持できるツールとして、非常に有益なものになるだろう。

 「特定の誰かを信頼することなしに、分散的に、みんなでその土地の管理などができる。それは、特に途上国みたいな場所ではメリットが大きいでしょう。ビットコインなどもそうですが、中央に頼ることなく、皆で価値を作れる点が大きな特徴です」(榎本さん)

 著作権や特許の情報を、国を超えてフェアな形で主張できたり、サプライチェーンにおいて、製造元や生産地、取り扱い業者などプロダクトを担保する情報を共有できたり。“皆がブロックチェーンに参加すること”が前提ではあるものの、ビジネス的にも大きな可能性があるのは明らかだ。榎本さんは、さまざまな情報がブロックチェーンに集まることで、中国のような与信経済が発展する可能性もあると話す。

 「WeChatペイやアリババのアリペイは、クレジットカードよりも低い手数料で導入が可能になっています。彼らのマネタイズポイントは、その利用履歴から得られる与信情報にあります。与信を生かした貸し付けはもちろん、与信情報の売買など、この情報を生かしたビジネスの可能性は大きい。保険などに代表されるように、そこから派生するビジネスも少なくないでしょう」(榎本さん)

 ビジネスへの影響で言えば、第三者の存在なしに契約の正当性を保証する「スマートコントラクト」への活用も見逃せない。正当性を確認するコストがなく、取引のスピードも速いため、契約の自動執行も可能になる。条件がそろい、そのデータがブロックチェーン上に入力されれば、株の配当や保険金の適用が自動で行われるイメージだ。法律が担保しなくても、参加者全員に情報が共有されているため、不正も起こりにくいというわけだ。この社会的なメリットは大きい。

 社会システムを一変させる可能性以外にも、単にデータ共有の手段として考えてもブロックチェーンは有用だ。企業で使う場合は、ブロックの追加や承認を行う人を絞った「プライベートチェーン」で企業間のデータ連携(共有)に使うという方法もある。企業の協業や新サービスの展開もやりやすくなるだろう。

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