長谷川: 哲学の研究をしていたところから今の会社を始めて、「これは面白い!」って思えたんですか?
山崎: 実はそんなに違和感ないんですよ。人工知能のコンセプト自体、コンピュータサイエンスではなく哲学から来ている概念ですから、そんなに遠くないな、と。
それと、アカデミアのバックグラウンドがあると、外部から人を呼びやすいという利点もあるんです。例えば僕らはアーティストとのつながりも重要視していて、今度、ある有名な方にアドバイザーに入っていただきます。アーティストの方々と会話をするときには、人文科学のバックグラウンドが役に立つところもすごくあるんです。
長谷川: 学生時代は、就職しようと考えたことはなかったんですか?
山崎: 民間企業で働くということを一度も考えたことがなくて、だから就職活動もしたことがないです。今、こうなっているのは、極めて不思議ですよね。
長谷川: 就職しなくても食べていけると思っていたわけですか?
山崎: 思ってないですよ。僕の家庭は裕福ではなかったので、「仕事しながら学校に行く」というのが普通の発想でした。逆に、社会に出るとこんなに普通に暮らせるのかと、がくぜんとしているくらいです。電気やガスが止まるのなんてしょっちゅうだったんで、普通に仕事をしていると、そういうのがないというのがスゴイなと。
長谷川: 確かに。
山崎: ずっとアカデミアにいたいと思っていたんですけど、社会に出てみてバランスが良くなったような気がします。お金は汚いもの、というイメージが大分薄れました。
長谷川: 仕事以外では何をしているときが楽しいですか?
山崎: 今はスタートアップかいわいの人たちとバンドをやったり、Podcastの配信をしたりしている時が楽しいですね。スタジオに入って、ただただ楽器をかき鳴らす、というのは、楽しいですよね。あとは、うちの会社にオープンスペースを作っていて、そこにスタートアップかいわいの人を呼んで花見とか忘年会とかやるんですよ。そういうイベントでお酒を作って出したりしている瞬間が、結構楽しいです。
長谷川: 1人でなにかに没頭している時が楽しい、って言うのかと思ったら、案外そうでもないんですね。
山崎: 土日に家から出ないで、ずっと本を読んでいたりもしますよ。でも、スタートアップに入って分かったのは、スタートアップの経営者って普通の就職ができなかった人たちが多くて、意外と彼らにシンパシーを覚えるんです。そういう人たちと出会ったのが面白くて、それが今も続けられている理由かもしれません。
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