SalesforceとAWSが展開する“響く”カスタマーファーストとは?Weekly Memo(1/2 ページ)

「カスタマーファースト」はビジネスを行っている企業ならばどこも重視しているが、クラウドサービスベンダーで筆者が特にその姿勢を感じるのがSalesforce.comとAmazon Web Servicesだ。なぜ両社の姿勢は“響く”のだろうか。

» 2019年04月15日 12時00分 公開
[松岡功ITmedia]

経営トップのメッセージ力が卓越しているSalesforce.com

 「私たちは100%、カスタマーサクセスに注力している。私たちの使命は、お客さまのビジネスの成功を支援することにある。その“特別なエネルギー”をお客さまにお届けしよう。カスタマーサクセスを私たちより重視しているところはないのだから」

 こう語るのは、Salesforce.comの創業者で会長 兼 共同CEOのマーク・ベニオフ氏だ。セールスフォース・ドットコムが2019年4月11日、米国本社の創業20周年を記念して都内で開催したイベントでのひとコマである。何ともパワーのあるメッセージである。イベントの参加者が社員を中心としたステークホルダーだったこともあって、会場は大いに沸いた。

Photo Salesforce.com会長兼共同CEOのマーク・ベニオフ氏

 同イベントを取材した筆者は、ベニオフ氏のこの発言を聞いて、同社の「カスタマーファースト」の姿勢についてまとめてみたくなった。そこで、同じカスタマーファーストを重視する企業で最近も新たな取り組みを始めたAmazon Web Services(AWS)の姿勢を併せて取り上げてみたい。

 セールスフォース・ドットコムのイベントでベニオフ氏とともに登壇した同社代表取締役会長 兼 社長の小出伸一氏は、「私たちはクラウドという新しい技術を世に送り出し、“ITの民主化”を推進してきた。現在では世界で15万社を超えるお客さまに当社のサービスをご利用いただいている。そうしたビジネスのベースとして、私たちは4つの価値を非常に大事にしている」と話した。

 その4つの価値とは、顧客との信頼を最重視する「トラスト」、顧客の成功が自らの成功という「カスタマーサクセス」、顧客とともにイノベーションを生み出す「イノベーション」、お互いに尊重して認め合う「イコーリティ」だという。とりわけ、カスタマーサクセスは冒頭で紹介したベニオフ氏の発言にもあるように、Salesforce.comにとって最も重要な価値といえよう。

 筆者がSalesforce.comのカスタマーファーストの姿勢を強く感じるのは、日本をはじめ、世界各地で開催している同社の大規模なイベントでいつも見られる顧客との一体感だ。大規模なイベントは競合他社も行っているが、同社のイベントはまさしく「お客さまが主役」という感じで独特の雰囲気がある。

 その原動力は、何といってもベニオフ氏の卓越したメッセージ力にある。優れた営業マンおよびマーケターであり、ブランディングを熟知した同氏の存在感が、カスタマーファーストの姿勢を引き立たせているという印象だ。

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