セールスフォース・ドットコムがAIプラットフォーム「Salesforce Einstein」において、ユーザー側でもカスタム利用を可能にする新施策を打ち出した。この動き、“AIの民主化”にも波紋を投げかけそうだ。
「AI(人工知能)はこれまで、アプリケーションに埋め込む形で提供してきたが、お客さまから『自分たちでもカスマイズできるようにしてほしい』との要望をいただき、新たに“カスタムAIプラットフォーム”を用意した」――。セールスフォース・ドットコムの早川和輝プロダクトマーケティングマネージャーは、同社が先頃開いたクラウドサービスの新機能に関する記者説明会でこう語った。
同社が新たに打ち出したこの施策は、親会社である米Salesforce.comが2018年9月に発表したもので、日本ではこの2月に本格展開される形となった。今回、この話を取り上げたのは、IT業界でこのところ流行語にもなっている“AIの民主化”に波紋を投げかける可能性があると思ったからだ。
Salesforce.comは2年半ほど前から、「Salesforce Einstein」(アインシュタイン)と名付けたAIプラットフォームを提供している。その提供開始時に、日本法人のセールスフォース・ドットコムが開いた会見を基に書いた2016年11月21日掲載の本コラム「Salesforce.comがAIに本腰、競合とどこが違うか」も参照いただくとして、今回の会見で早川氏がEinsteinの新施策に至るこれまでの取り組みを、図を示しながら説明したので紹介しておこう。
まず、図1に示したのが、同社が現在提供しているCRMに関する総合サービス「Customer Success Platform」である。もともとは社名の由来である営業支援(SFA:Sales Force Automation)からスタートし、顧客接点に必要な要素を増やしていった格好だ。2018年からは、これらの要素をさらに深く連携させてデジタル変革につなげようという「Customer 360」と呼ぶサービスも提供している。
そして、そのCustomer 360の表示に寄り添うように顔を出す博士のようなキャラクターが、Einsteinである。早川氏によると、「この図は、“周りのソリューションから得られたデータをEinsteinに集約して活用すること”を表現している。すなわち、EinsteinはCRMに最適なAIであることをアピールしている」とのことだ。
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