C2Rは、従来の「Windows Installer(MSI)」とは異なり、Microsoftが2006年に買収したSoftricityの主力製品「SoftGrid」のアプリケーション仮想化技術(Microsoftの名称では、App-V:Application Virtualization)をベースにした新しいインストール形式です。アプリケーションの実行時に最新のバイナリをストリーミングで取得し、実行します。
C2Rのメリットは、定期的にアプリケーションをアップデートしなくても、常に最新のバージョンを使える点です。ただIT管理者としては、上述のExcelのマクロなどのバージョン互換の問題もあり、手放しで喜べないのが実情でしょう。
C2R最大の懸念点は、従来Officeのアップデート運用を担っていた「WSUS(Windows Server Update Services)」が使えない点です。もし、自社環境でバージョン互換の問題が発生しそうであれば、従来のように不具合のある更新だけを取り除く必要があります。しかしC2Rの場合、それができません。“常に最新のバージョンを利用する”という想定で作られているためです。
パッケージ版と「Office 365(サブスクリプション版)」ともに、Office 2013/2016/2019では、このC2R形式しか選べません。ボリュームライセンスでは、Office 2013/2016の場合、従来のMSIを選べます。ただしOffice 2019以降、クライアント向けにはC2Rしか提供されません。C2Rでは、Officeのアップデート運用が大きく変わります。WSUSもそのまま利用できなくなるため、全面的な運用環境の見直しが必須となります。その労力を考えると、あえてOffice 2013/2016を選ぶということも視野に入れて検討する必要があります。
では、バージョン互換の問題から「社内ではOfficeのバージョンを指定したい」「インターネットから直接取りに行かせず、ネットワーク帯域を節約したい」という場合は、どうすればいいのでしょうか?
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