気軽にバージョンアップして大丈夫? 最新版「Office」運用で気を付けたい落とし穴横河レンタ・リースの「Win10運用マスターへの道」(13)(4/4 ページ)

» 2019年04月19日 07時00分 公開
[松尾太輔ITmedia]
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「Office 365」のアップデート状況を確認し忘れると起こる“深刻な事態”

 例えば、当社は「Office 365 ProPlus」を利用し、OfficeはC2Rで運用されていますが、なぜかアップデートされないというPCがありました。結局、再インストールして解決しましたが、原因は不明です。

 社内の全てのPCがきちんとアップデートされているかどうかを確認する術を持つことは、非常に重要です。さもなければ、いつまでもアップデートされないPCを放置することになりかねず、セキュリティ上のリスクを背負うことは言うまでもありません。その上、Office 365の場合、問題はもっと大きくなります。

 Office 365のクラウド側(「Exchange Online」や「OneDrive for Business」など)は、常に最新バージョンにアップデートされています。今のOfficeはこれらのクラウドサービスと緊密に連携しているため、PCでバージョンアップがされず古いままのアプリケーションと、クラウド側の最新のアプリケーションの間でバージョンの開きができれば、動作がおかしくなります。

 現に私が経験したことを挙げると、OneDrive for Businessから開いたファイルの自動保存機能や同時編集機能などは、古いバージョンのOfficeだといつの間にか使えなくなりました。今までできたことが、“いつの間にか”できなくなるのです。こうした事態が起きると、ユーザー側はむしろバージョンダウンしたかのように錯覚します。

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「社内最新版にアップデートしたいけど、帯域が不安」というあなたへ

 なお、最新版にアップデートするにあたり、ネットワーク経由だと帯域が不安というお話もよくお聞きしますが、これについては心配不要だと思います。この辺について、C2Rのベースになっているアプリケーション仮想化(App-V)はよくできていて、本当に実行に必要で変更が加わったものしかダウンロードしてこない仕組み(ストリーミング)になっています。

 アップデータは数GBありますが、ネットワークに流れるデータは100MB強程度であることが多いようです。ただし、差分がたまたま大きかったり、大量のPCが一斉にアップデートを行ったりすれば、ネットワーク帯域が不足する可能性もあるかもしれません。それが心配な場合は、アップデートを行うタイミングをある程度拡散させることをお勧めします。

 アップデートを行うタイミングは、デフォルトで決まっていますが、変更もできます。また「モバイルなどでスマホのデザリングなど従量課金のネットワークに接続されている場合には、アップデートされないようにする」ということも可能です。ただし、この辺りは結構な作り込みが必要になるため、「サポートするツールがあればいいのに」と個人的には思います。

 特に、ローカルソースを複数設置したいある程度の規模の企業の場合、レジストリを「PowerShell」などで適宜書き換えるという作りこみになります。これは、当社が拠点ごとのローカルソースにアクセスさせるためにやっています。そこで、手前みそで恐縮ではありますが、上記4点に加えてローカルソースの機能を当社のWindows 10アップデート運用ソリューションである「Unifier Cast」に近日搭載予定です。実際に当社でWindows 10を運用してみて必要だと思った機能なので、多くの企業にとって有用だと思っています。


 さて、次回は前回触れたWindows 10の運用に必要な「Active Directory(アクティブディレクトリ)」を「必要最小限で構成し、Feature Update/Quality Updateを制御する」方法をご説明したいと思います。お楽しみに!

著者紹介:松尾太輔

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横河レンタ・リース株式会社 事業統括本部 ソフトウェア&サービス事業部長。

自社開発ソフトウェア「Flex Work Place」を開発、提供する一方、働き方改革を推進する企業に、安全で柔軟な働き方実現のための各種製品、そしてWindows 10の導入コンサルティング活動を行う。

暴れん坊三児の父でもあり、今働き方改革が一番必要な男でもある。


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