例えば、当社は「Office 365 ProPlus」を利用し、OfficeはC2Rで運用されていますが、なぜかアップデートされないというPCがありました。結局、再インストールして解決しましたが、原因は不明です。
社内の全てのPCがきちんとアップデートされているかどうかを確認する術を持つことは、非常に重要です。さもなければ、いつまでもアップデートされないPCを放置することになりかねず、セキュリティ上のリスクを背負うことは言うまでもありません。その上、Office 365の場合、問題はもっと大きくなります。
Office 365のクラウド側(「Exchange Online」や「OneDrive for Business」など)は、常に最新バージョンにアップデートされています。今のOfficeはこれらのクラウドサービスと緊密に連携しているため、PCでバージョンアップがされず古いままのアプリケーションと、クラウド側の最新のアプリケーションの間でバージョンの開きができれば、動作がおかしくなります。
現に私が経験したことを挙げると、OneDrive for Businessから開いたファイルの自動保存機能や同時編集機能などは、古いバージョンのOfficeだといつの間にか使えなくなりました。今までできたことが、“いつの間にか”できなくなるのです。こうした事態が起きると、ユーザー側はむしろバージョンダウンしたかのように錯覚します。
なお、最新版にアップデートするにあたり、ネットワーク経由だと帯域が不安というお話もよくお聞きしますが、これについては心配不要だと思います。この辺について、C2Rのベースになっているアプリケーション仮想化(App-V)はよくできていて、本当に実行に必要で変更が加わったものしかダウンロードしてこない仕組み(ストリーミング)になっています。
アップデータは数GBありますが、ネットワークに流れるデータは100MB強程度であることが多いようです。ただし、差分がたまたま大きかったり、大量のPCが一斉にアップデートを行ったりすれば、ネットワーク帯域が不足する可能性もあるかもしれません。それが心配な場合は、アップデートを行うタイミングをある程度拡散させることをお勧めします。
アップデートを行うタイミングは、デフォルトで決まっていますが、変更もできます。また「モバイルなどでスマホのデザリングなど従量課金のネットワークに接続されている場合には、アップデートされないようにする」ということも可能です。ただし、この辺りは結構な作り込みが必要になるため、「サポートするツールがあればいいのに」と個人的には思います。
特に、ローカルソースを複数設置したいある程度の規模の企業の場合、レジストリを「PowerShell」などで適宜書き換えるという作りこみになります。これは、当社が拠点ごとのローカルソースにアクセスさせるためにやっています。そこで、手前みそで恐縮ではありますが、上記4点に加えてローカルソースの機能を当社のWindows 10アップデート運用ソリューションである「Unifier Cast」に近日搭載予定です。実際に当社でWindows 10を運用してみて必要だと思った機能なので、多くの企業にとって有用だと思っています。
さて、次回は前回触れたWindows 10の運用に必要な「Active Directory(アクティブディレクトリ)」を「必要最小限で構成し、Feature Update/Quality Updateを制御する」方法をご説明したいと思います。お楽しみに!
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