コラム
» 2019年05月20日 08時00分 公開

Publickey:「特定のプログラミング言語に縛られない実行環境」を、米国発のCDNベンチャーが開発する理由 (1/3)

多くの人が中継動画やオンラインゲームといったWebコンテンツを消費する今、大量のコンテンツを高速で配信する仕組みとしてCDNが注目を浴びている。そうしたベンダーの1つが、米国から日本に進出したFastlyだ。

[新野淳一(Publickey),ITmedia]

【コラム:編集部より】コンテンツ配信を支える“裏の技術”、CDNとは?

 見たいWebサイトや今使いたいオンラインツールがあるのに、アクセスが集中してなかなかつながらない――そんな状況を経験したことはありませんか?

 オンラインで映像などのコンテンツを見るのが当たり前になった今、「アクセスが集中している状態でも、自社コンテンツをいつでも必ず見られるように保つ」ことが、Webサイトを運営する企業にとって重要事項になりつつあります。しかし、そのためには容量の大きいコンテンツを配信する場合や多くのアクセスが集中する場合でも、その負荷に耐えられるような仕組みが必要です。

 その鍵として注目を集めているのが、CDN(Contents Delivery Network:コンテンツデリバリーネットワーク)です。これは、Webコンテンツを配信するサーバとユーザーのサーバとの間に、コンテンツ配信専用のネットワークやエッジサーバ(注1)を置くことで、多くのユーザーがアクセスするような状況に置かれても、Webサイトのコンテンツを高速で配信できるようにする仕組みのこと。最近では、メディアやオンラインビジネスの事業者に使われ始めています。

 そうしたベンダーの1つが、最近米国から日本に進出したFastlyです。CDN自体は以前からある技術ですが、今その先端で何が起こっているのでしょうか? 来日した同社のCTOに、Publickeyの新野淳一氏がインタビューした模様を、同氏のブログ転載の形でお届けします。(編集部)

注1:エッジサーバ=ネットワークのうち、コンテンツを閲覧する端末やユーザー側(=エッジ側)の近くに置かれ、一定の処理を引き受けるサーバのこと(編集部)

 この記事は、新野淳一氏のブログ「Publickey」の記事「FastlyのCTOに聞く、同社がWebAssembly実行環境の「Lucet」をエッジコンピューティング環境として開発している理由とは?」を許可を得た上で転載、編集しています。


Fastlyが公開した「Lucet」とは?

 CDNのプロバイダーである米国のFastlyは2019年4月1日、WebAssemblyを使った「Lucet」をオープンソースで公開。同社のエッジコンピューティング環境として開発を進めていることを明らかにしました

 WebAssemblyは、Webアプリケーションのために新しく作られたプログラム言語です。容量の小さいバイナリフォーマットを活用し、それまでコンピュータの中で実行されていたコードを、Webブラウザでも高速で実行できるように作られています。

 Fastlyは、WebAssemblyをCDNを構成するエッジサーバで動作するように移植。50マイクロ秒(1マイクロ秒は100万分の1秒)以下でWebAssemblyモジュールを起動させ、メモリオーバーヘッド(注2)もわずか数キロバイトという、非常に高速で軽量な実行環境を作りました。これにより、いわゆるパブリッククラウドのような大規模なコンピューティングリソースを持たないエッジ環境でも、大規模に展開できるといいます。

注2:オーバーヘッド=コンピュータである処理を行う際、その処理を行うために発生する付加や時間のこと(編集部)

 なぜ同社はWebAssemblyをエッジコンピューティング環境に選択し、開発を進めているのでしょうか。来日した同社CTO(最高技術責任者)でLucetの開発を担当するタイラー・マクマレン(Tyler McMullen)氏にインタビューを行いました。

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