「特定のプログラミング言語に縛られない実行環境」を、米国発のCDNベンチャーが開発する理由Publickey(3/3 ページ)

» 2019年05月20日 08時00分 公開
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実はNative Clientを検討していたが……

────数年前というと、WebAssemblyの登場以前からLucetに取り組んでいたのですか?

マクマレン氏: そうです。WebAssemblyより前、どのテクノロジーが私たちの目的に適しているかを調べていました。その1つがNative Clientです。ご存じですか?

────はい。GoogleがWebブラウザ上で実装しようとしていたものですね(注5)。

注5:Native Clientは、GoogleがWebブラウザ上でx86バイナリを安全かつ高速に実行できる仕組みとして開発していた(編集部)

マクマレン氏: ええ。そこで私たちもそれを試してみることにして、Native ClientをWebブラウザから取り出してサーバへ組み込んだのです。そして動くようになった頃に、GoogleのNative ClientチームはもはやNative Clientには取り組んでおらず、WebAssemblyへ取り組むようになっていたことを知りました(笑)。

────そうなんですか!

マクマレン氏: そうなんですよ。まあ、じゃあ、それなら私たちもWebAssemblyをやってみようか、となったわけです(笑)。

Mozillaと協力してWASIの開発にも取り組み

────Lucetの開発ではMozillaと協業しているとのことですが。

マクマレン氏: はい、これまで約2年ほど協力し合っています。Lucetの事前コンパイラにはMozillaの次世代コンパイラであるCraneliftを使っていますし、両社で開発に当たっています。

 それに加えて私たちは今新たなWASI(WebAssembly System Interface)仕様の開発にも取り組んでいます。これは非常にエキサイティングです。これは、UNIXなどの標準API仕様であるPOSIX仕様に似ているもので、その第一歩を踏み出したところです。

Lucetの正式版はいつ登場?

────Lucetはいつ正式版になる見通しですか?

マクマレン氏: 2019年後半、もしくは2020年早々といったところだと思います。コンパイラなどはすでに一定の水準に達していますが、問題はそれらをFastlyの巨大で複雑なシステムにどうやって統合するのか、というところにあるからです。

────ありがとうございます。Lucetの登場を楽しみにしています。

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