消費者だけの“口コミ”はフェアじゃない 「お店から客への評価」を可能にしたレストラン予約サービスの裏側6億円の資金調達、海外展開も加速へ(2/3 ページ)

» 2019年07月03日 07時00分 公開
[柴佑佳ITmedia]

「飲食業界をエコシステム化するプラットフォームを構築したい」

 同サービスではまず、飲食店に向けて「台帳のシステム化」を提案する。予約や顧客管理をシステムで完結できれば、ユーザーがリアルタイムで空席を検索したり予約したりできる。サービスを受ける際、手ぶら決済システム「TableCheck Pay」を利用すれば、アカウントにひも付いたクレジットカードで自動会計ができる。

 「ユーザーがあらかじめクレジットカードを登録しておくだけで、全ての会計が完結します。これは、ホテルや航空券予約サービス、Uberなどの配車サービスと同じモデルです」(谷口氏)

一般的な飲食店でのクレジットカード払い(左)、TableCheckを利用した場合の会計処理(右)

 同氏によれば、TableCheckは今後「ユーザーのマネタリー管理」を目指すという。ユーザーの決済データから「いくら支払ったか」を収集し、お店にとって費用対効果の高い、「良い顧客像」を見える化する。将来的には、ユーザーの行動パターンから解析したおすすめのお店をレコメンドする「送客サービス」にも取り組む予定だ。

 「たくさん広告費用を払ったお店や、単純にお客さんの入りが多い店ではなく、『こういう店が好きなユーザーなら、このお店も気に入る』というロジックを組み込んだ仕組みを作りたい」(谷口氏)。

お店がユーザーを評価する「信用スコアリング」と、サービスの価格が変わる「ダイナミックプライシング」

 谷口氏は続いて、他社競合サービスにおける「口コミ」について言及した。「これまでは、消費者がお店を一方的に評価していました。われわれは、お店も消費者を評価する『フェアな関係』を構築します」。

 同氏が例として上げたのは、「Uber」や「ヤフオク!」のような、相互評価モデルだ。TableCheckでは、利用頻度やキャンセル率、店舗での評価に、「Yahoo!スコア」のような他社のスコアリングを掛け合わせて「TableCheckのカスタマースコア」を生成する。

 こうして生成した「信用スコアリング」は、「ダイナミックプライシング」の参考値となる。ダイナミックプライシングとは、需要の変動に応じて価格を変える手法で、一部の業界では既に実施されている。

 「ホテル業界やエアライン業界では、すいているときと混んでいるときで価格が変わったり、ロイヤルカスタマーに対して特別なサービスを提供したりしています。この流れは、あらゆる業界に波及していくでしょう」(谷口氏)。

 具体的には、スコアの高いユーザーには優先的に予約枠を確保したり、優待価格でのサービスを提供したりする。一方、無断キャンセルを繰り返すなどの行為でスコアの低いユーザーに対しては、予約時のカード情報入力を必須化したり、キャンセルのリスクを見込んだ保証金を含む、割高なプランを提供したりする予定だ。

「ダイナミックプライシング」と「信用スコアリング」によって、提供サービスを柔軟に変動させる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ