“育成ラッシュなのにAI人材不足”の矛盾を解消へ――経産省、産官学連携の育成プログラムを発表「課題解決型AI人材」の育成を目指す(1/3 ページ)

現場の課題に即したAI人材育成へ、経産省が産官学連携で練り上げた「PBLプログラム」が発足した。多様な分野の学生や社会人を集めて本格的なトレーニングを実施する。そのきっかけになった国外の動向と、国内の専門家が議論した「日本のAIの希望と課題」とは。

» 2019年10月16日 07時00分 公開
[阿久津良和ITmedia]

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経済産業省 商務情報政策局長 西山圭太氏

 ボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は2019年10月11日、課題解決型AI人材育成を目指す「PBL(Project Based Learning)プログラム」キックオフイベントを、内田洋行本社で開催した。同プログラムは、経済産業省が2018年から政府のAI戦略を踏まえて策定したAI人材育成事業「AI Quest」と、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」を基盤とした実証実験である。

 開会あいさつに登壇した経済産業省の西山圭太商務情報政策局長は、2013年にフランスで設立されたテックアカデミー「42」が本プロジェクトの起点であることに触れ、座学ではない教育と参加者の多様性を指す「型にはまらない」、企業課題を学習テーマとした「学ぶ内容が実践的」、学生自身が新たなカリキュラムを作成して、発展させていく「学生の自治」の3点を高く評価。「42からは未来を感じる」(西山氏)と語った。

「育成プログラム」は多いのに、AI人材が足りない――その根本的な理由とは

経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 課長補佐 小泉誠氏

 AI Questの解説を担当した経済産業省の商務情報政策局 情報経済課 課長補佐 小泉誠氏は、政府の「AI戦略 2019」の戦略目標1である「教育改革」、戦略目標2の「産業競争力」を具現化した「社会実装」を目指す産業政策であることを強調。「『人材不足の解消』『人材育成を通じたAI実装』の実現を目指す」(小泉氏)と語る。

 AI人材不足は日本に限らず、グローバルレベルの課題であり、大手IT企業もAI人材育成プログラムを次々と発表してきた。だが、現状の国内でAI人材不足が起きている現象について、同氏は「構造的な課題」があると指摘する。

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