インタビュー
» 2019年11月19日 08時00分 公開

Twilio COOに聞く「クラウドコミュニケーション」:「メルマガは送っても読まれないと思え」 新たな“顧客接点”を武器に日本進出、米国発ベンチャーの勝算は? (1/2)

企業のメッセージがユーザーに届かなければ、ビジネスは成功しない。世界中の企業がユーザーとの接点を求める一方で、ユーザー側は大量の情報に「お腹いっぱい」になっている。時代に合わせたコミュニケーションを実現する方法とは?

[指田昌夫,ITmedia]

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Twilio COO ジョージ・フー氏

 「われわれの周囲にはたくさんの情報が溢れています。メールマガジンを送っても開封してもらえませんし、アプリでさえ面倒なものになりつつあります」と語り始めた、TwilioのCOO(最高執行責任者)ジョージ・フー氏。2019年9月の日本法人設立に合わせて来日し、同社の提供するクラウドコミュニケーションプラットフォームの価値と、日本におけるビジネスへの期待を語った。

 フー氏は「いまや、スマートフォンのロック画面に直接表示するような形で通知を送ってアピールしなければ、ユーザーからの高い反応は得られません」と話す。米国サンフランシスコに拠点を置く同社は、電話やテキストメッセージ、ビデオなどをアプリケーションなどに組み込めるクラウドAPIを提供し、急成長を遂げているという。その原動力ともいえるニーズと強みとは何なのか。「企業が顧客と直接つながるコミュニケーションチャネルの強さが、今後のビジネスの成功を左右する」と強調する同氏に、詳しく話を聞いた。

世界中の企業が「顧客とつながるためのチャネル」を求めている

――Twilioの日本法人設立の背景と、グローバルにおける急成長の背景についてお聞かせください。

フー氏(以下略):まず世界中の企業が、顧客との接点を求めている状況があります。企業は「顧客とつながるためのチャネルが不十分だ」と気付き、その開発に乗り出しているのです。

 しかし、ユーザーにメッセージを届けるサービスを通信インフラ上で一から開発し、維持するには、高度な専門スキルと膨大なコストが必要です。コミュニケーションのチャネルが目まぐるしく変化する中で、1つの企業がその都度自前で開発・維持するのは困難になっています。

 そこでTwilioは企業に対して、使いたいときに最新のコミュニケーションチャネルを開発・実装できるようなクラウド環境を提供しています。これは、ビジネスストレージが「Amazon Web Services (AWS)」や「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform(GCP)」のようにクラウドへ移行したのと同様のものです。

 現在、コミュニケーションチャネルの基盤として、全世界で600万人の技術者がTwilioでサービスを開発し、それを世界16万社が利用しています。企業の規模は、ベンチャーから大企業までさまざまです。

 もしかしたら日本におけるTwilioのイメージは「スタートアップ企業が新しいサービスに利用するもの」かもしれません。しかし実は、大企業も顧客体験を改善し、向上させる必要があるのです。自社のサービスにコミュニケーションチャネルを組み込めば、顧客接点を強化する重要な要件になります。

通信インフラサービスに求められている機能とは?

――電話音声APIからスタートしたTwilioが、総合的な通信インフラサービスとして拡大しました。現在他社と比べて、どのような強みがあると思いますか?

 強みは3つあると思っています。まず1つ目は、ほぼ全ての通信サービスに対応している点です。ビデオチャットやテキストチャット、メッセージアプリ、Eメール、FAXなど、コミュニケーションプラットフォームとして求められる、あらゆるチャネルをカバーしています。日本ではLINEでコミュニケーションをとることが多いようですね。もちろんLINEとも接続します。

 2つ目はシステムの信頼性です。実測の稼働時間で、99.999%の可用性を確保しています。リアルタイム性が求められるコミュニケーションや、シビアな状況で用いる通信手段にも利用いただけます。また、厳重な監視体制を敷いており、今まで発生した通信障害の95%は、キャリアよりも先にTwilioが発見しています。

 そして3つ目は、われわれが「Twilioスーパーネットワーク」と呼ぶ通信網です。Twilioが10年かけて世界中の通信事業者とつないできたもので、Twilioで開発したサービスは、そのまま100を超える世界中のキャリアネットワークへ接続できます。自国で立ち上げたサービスを他国に展開する際も、国や地域による制約を受けず、顧客接点も含めてスムーズに導入できるのです。

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