リコーの全力投球RPA、数万人の従業員を動かした7つの起爆剤(1/2 ページ)

現場の困りごとを解決したい――社外の事業者に頼らず、完全な内製でRPAに挑んだリコー。全社一丸で取り組んだ結果、1000人以上の社員がロボット開発の教育を受けたという。RPAへの高いモチベーションを生み出した「7つの起爆剤」とは。

» 2020年01月09日 10時00分 公開
[吉村哲樹オフィスティー・ワイ]

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 「RPA(Robotic Process Automation)を導入したものの効果や規模がスケールしない」「開発や運用の体制づくりが難しい」「従業員の協力を得られない」――RPAは社内で広く展開することで大きな効果を得られるという理想論が語られる一方、導入を試行する企業からはさまざまな悩みが聞かれ、「期待よりもうまくいかない」といった声が挙がるケースも珍しくない。

 一方、リコーは2018年から全社を挙げてRPAの活用を始め、わずか1年半ほどでグループ会社29社にRPAを展開。「ROI(費用対効果)にあまり細かくこだわらない」姿勢にもかかわらず、結果として多くの業務時間を削減した。同社のように規模の大きい企業が全社一丸となって取り組みを進めることは簡単ではないが、既に社内の1000人以上がロボット開発に携わる教育を受け、RPAに対する従業員のモチベーションも高いという。

 一体なぜ短期間でこれほどまでに活動を広げられたのか。その背景には、社外の事業者に頼らず、完全に内製でしかけた「7つの起爆剤」があった。“全力投球”ともいえる同社のRPA導入の舞台裏を探る。

「7つの起爆剤」でRPA導入を推進するリコー

リコー 浅香孝司氏

 リコーは、全社を挙げてRPAの活用推進に取り組む企業だ。その直接のきっかけとなったのは、同社が2018年から本格的に始めた「社内業務プロセス改革活動」だ。現在はデジタル技術を積極的に活用した業務プロセス改革に取り組み、RPAはその中で中心的な役割を担う。

 しかし、9万人以上の従業員を抱え、グローバルに事業を展開する大企業が全社で取り組みを推進することは簡単ではない。そこで、同社が「7つの起爆剤」と称する個別の活動領域を定義し、それぞれの施策に注力することにした。リコーの浅香孝司氏(CEO室 室長 兼 プロセス改革PT リーダー)は次のように語る。

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