無料サービスと引き換えに蓄積されるプライバシー情報、巨大企業に「自分の分身」を預けるのが怖いなら半径300メートルのIT(1/2 ページ)

私たちは便利なサービスを利用するため、サービスベンダーにさまざまな情報を渡しています。検索キーワードや位置情報は、一つ一つなら大した情報ではありません。しかし長年にわたって蓄積されたこれらのデータには、確かな価値が生まれます。その価値によって得をするのは誰であるべきでしょうか?

» 2020年04月21日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]

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 個人情報とは、名前や住所、生年月日といった「それ単独で個人が特定できてしまうもの」や、他の情報と容易に照合ができ、特定の個人を識別できるものを指します。日本で個人情報保護法が施行されたのは2005年。現在では多くの人が当たり前に「自分が知らないうちに、自分の名前や住所などが他人に知られるのはいやだ」と感じているのではないでしょうか。

 一方で現在、多くの人は便利なサービスに慣れきっています。検索エンジンや地図サービス、SNS、メッセンジャーツールなど、インターネットを通じて提供される無料サービスの利用を前提に生活している人も少なくないでしょう。

 さて、これらを利用するためにわれわれは、サービスベンダーに「検索ワード」や「位置情報」などを提供しています。一つ一つは個人情報には当たらない、大したことのない情報です。しかし大量のデータを重ね合わせれば、そこから利用者の「顔」が見えてくるかもしれません。

「9年間の利用履歴」から再現された「もう一人の自分」

 デジタルサービスと引き換えにわれわれが「明示的に」提供する情報がどのように保管され、活用されているのかは、利用者自身には分かりにくくなっています。そのため「仕方ない」「怖いけれど、今の便利さを捨てられない」と感じている人も多いのではないでしょうか。

  と、そのような番組を2020年4月、NHKが放送していました。タイトルは「NHK スペシャル さよならプライバシー」(編集部注:NHKスペシャル「デジタルVSリアル」シリーズ第2回 「さよならプライバシー」、4月12日放映)。番組の中で、Googleが持つ自分の情報をとあるユーザー(Xさんとします)がダウンロードし、9年間の利用履歴総計2.74ギガバイトのデータを番組に提供。ITマーケティング会社がそれを基に、Xさんがどのような人であるかを探りました。

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