英国“サイバー潜入捜査”で快挙 犯罪者専用サービスの暗号解読、700人余りを逮捕

英国家犯罪対策庁などは、世界で約6万人が使っていたEncroChatのメッセージングサービスに潜入し、暗号化通信の解読に成功した。

» 2020年07月03日 10時42分 公開
[鈴木聖子ITmedia]

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 英国家犯罪対策庁(NCA)と欧州刑事警察機構(Europol)は2020年7月2日、犯罪者専用のグローバルコミュニケーションサービス「EncroChat」への潜入捜査を通じて容疑者700人余りを逮捕し、多額の現金や大量の麻薬などを押収したと発表した。

 発表によると、EncroChatは犯罪組織のみを対象にスマートフォンのインスタントメッセージングサービスを提供し、その通信内容は暗号化されていた。NCAは各国の捜査機関と連携し、EncroChatの暗号を破ることに成功した。

EncroChatへの潜入捜査の結果、犯罪者が逮捕された様子(出典:NCA)

 EncroChatは世界でおよそ6万人、英国では約1万人のユーザーを抱えていた。ユーザーは同サービスを不法な商品の販売やマネーロンダリング、敵対する犯罪者の殺害といった犯行の計画に利用していたという。

数年かけた執念の捜査 700人余りの逮捕に至った作戦とは

EncroChatの運営側は、2020年6月13日に捜査当局の潜入捜査に気付き、ユーザー側に「政府からのサイバー攻撃に遭い、デバイスのセキュリティをもはや保障できない。われわれが配布したスマートフォンの電源を今すぐ落とし、物理的に破壊を」(編集部抄訳)という内容のメッセージを送信していた(出典:Europol)

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