富士通の総務、人事チームとDX専門集団が新常態への変革を支援 「FUJITSU Work Life Shift」の全貌は

富士通が、自社グループ8万人に実践するテレワークやオフィス半減などのニューノーマル対応施策の成果をサービスとして体系化した。定着支援では自社の総務、人事担当者もプロジェクトにコミットするという。

» 2020年10月09日 18時46分 公開
[原田美穂ITmedia]

 富士通は「FUJITSU Work Life Shift」を2020年10月9日から提供を開始する。

 FUJITSU Work Life Shiftは、富士通がグローバルの社員約13万人を対象に実践した働き方改革「Work Life Shift」を体系化して提供するソリューション群の総称だ。「Smart Working」「Borderless Office」「Culture Change」の3つのカテゴリーで17ソリューション体系、59種類のサービスや製品から構成される。第一弾となる今回はこのうち5つのサービスが発表された。

 FUJITSU Work Life Shiftの全体像は下図の通りだ。

会見に臨んだ富士通の島津めぐみ氏は「さまざまな働き方の改革を進めた結果、直近の富士通社内サーベイでは働く場所の選択を望む社員が増えた。元に戻ることはなくニューノーマルの新しい働き方を進める」とFUJITSU Work Life Shiftの成果を示した

 以降、具体的にサービスとして発表された個別のサービスも見ていこう。

 Smart Workingは、複数のテレワーク環境支援サービスを盛り込む。このうち「Secure Remote Working」は、1台当たり月額2500円から利用できるサブスクリプション型のPC端末運用管理サービス「マネージドデバイスサービス」や「V-DaaS」を提供する。「最短で5営業日でテレワークを開始できる」(富士通 理事 古賀一司氏)という。2021年第1四半期からはシンクライアントだけでなく秘密分散を使ったFAT端末も提供する。

 この他、同社FENICSブランドのネットワークセキュリティサービス「FENICS CloudProtectシリーズ」を使ったゼロトラストネットワークサービスも提供する予定だ。

 富士通の島津めぐみ氏(執行役員常務 デジタルインフラサービスビジネスグループ長)は、「当初、テレワークに移行しても『会議がオンラインになるだけ』と想定していたが、社内を調査してみると会議時間やメールの流通量が20%も増えていた」と話す。

 「慣れない環境での意思疎通に難しさがある。今まで直接対話できていたものが、メールないしチャットに置き換わっていた。コラボレーションの改善が重要だ」(島津氏)

 一方「Culture Change」は、オンラインコミュニケーションの課題を解決するサービスを集めたカテゴリーとして位置付けられる。オンラインコミュニケーションの課題を解決するものと位置付けられる。具体的には、既に発表されている業務可視化サービス「Zinrai for 365 Dashboard」や2020年11月30日から販売されるコラボレーション基盤「FUJITSU Collaboration Space」が含まれる。

 Zinrai for 365 Dashboardは「Microsoft 365」と富士通独自のAIサービス群「Zinrai」を組み合わせたサービス、FUJITSU Collaboration Spaceは富士通研究所の空間ユーザーインタフェース技術を活用したコラボレーション支援サービスだ。 空間ユーザーインタフェース技術は、同一の空間で複数のデバイスをあたかも一つのディスプレイであるかのように扱い、そのディスプレイに複数のデバイスからテキストファイルや動画、音声、手書き文字、CADデータなどを同時に表示させたり、任意の場所に移動させたりといった操作を可能にするものだ。

 FUJITSU Collaboration Spaceは、同技術をテレワーク中の遠隔コラボレーションに応用した。オンライン会議中の画面で複数のメンバーがテキストファイルや動画、音声、手書き文字、CADデータなどの多様なデータを複数メンバーで同時に共有、編集できる。

FUJITSU Collaboration Spaceのベースになった空間ユーザーインタフェース技術のデモ動画(富士通のYouTubeチャネルより)

「DX専門集団」と富士通の総務、人事担当者による支援

 「Work Life Shift」はもともと富士通が2020年7月に自社の新しい働き方のコンセプトとして発表したものだ。従業員約8万人が「原則テレワーク」といった報道をされたことから、記憶に残る読者も多いだろう。しかし、「原則テレワーク」というのは必ずしも事実ではないようだ。

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