ITをどう活用すれば、従業員のモチベーションは上がるのかCitrix Overseas Report

「現在の業務の一部は、ITで自動化できる」と聞くと、従業員がほとんどいない職場や活気のない職場を想像する人もいるのではないでしょうか。しかし、実際は従業員のモチベーションが上がり、顧客に対してロボットにはできないような「神対応」をしてくれるケースも出てくるようです。なぜこんなことが起こるのでしょうか。大事なポイントを解説しましょう。

» 2020年10月15日 07時00分 公開
[Bryan JanesITmedia]

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 「企業は従業員によって形作られる」

 これを聞いた経営者の大半は「そんなことは分かっているよ」と答えるでしょう。しかし、従業員がポジティブな姿勢を保ち、同時に好奇心とやる気を伸ばせるような体験を提供できていない企業は多い――というのが、残念ながら実情ではないでしょうか。

 最近、富士通グローバルでFuture Workplace Services(未来の職場サービス)と呼ばれる部門の責任者を務めるネリス・マットロウ氏にインタビューする機会がありました。同氏とは、従業員が企業から得る体験の重要性をはじめ、職場でいかにしてそうした体験を生み出せるかを話し合いました。

 本稿では、このインタビューから得られたアイデアを、まとめて幾つかご紹介したいと思います。

従業員の「ポジティブな体験」は、優れた顧客体験につながる

 終身雇用の時代が過去のものとなった今、人々はさまざまな企業を渡り歩くようになりました。社会人向けSNS「Linkedin」を手掛けるLinkedInが2016年に発表した記事によれば、新卒で就職した企業から5年以内に転職をしている人の数は、20年前と比べると約2倍に増えたそうです。

 この事実からは、適切な人材を引き付け、つなぎ留めるために、これまで以上の企業努力が必要なことがよく分かります。またその中で、従業員に「良い体験」を重ねてもらうことは欠かせない要素です。

 もし従業員体験の質が低ければ、従業員は不満に思い、モチベーションが低下します。そしていずれは離職するかもしれません。

 逆に従業員の体験が優れたものであれば、彼らは自らの仕事を楽しみ、成果を上げるため頑張ろうと思うでしょう。こうしたモチベーションの高い、活力ある従業員を擁することのメリットは、言うまでもなく、極めて大きなものです。

 身近な例として小売業界を見てみましょう。小売りの業務プロセスの大部分は自動化できます。例えば、会計はセルフレジで済ませられます。それでも、士気の高い従業員が店舗にいてくれることには意味があります。それは、企業にまるで魔法のようなメリットをもたらすためです。

(写真はイメージです)

 例えば、買い物をした際に、店員から気分が良くなるような応対をしてもらった経験はないでしょうか? 商品の場所を尋ねたら、店員が驚くほど親身になって案内してくれたり、あるいは値段を割り引きしてくれたりといったようなことです。

 良い体験は、顧客に強い印象を植え付けます。その店にもう一度行こうと思わせ、その店のブランドに素晴らしい価値を付けてくれます。

 このような体験を生み出すのは、「お客さんに良い体験をしてもらおう」というモチベーションのある従業員です。つまり、優れた顧客体験は、従業員が高いモチベーションを維持できるような「職場での良い体験」から生まれるのです。

 ただし、従業員にとって優れた仕事環境を実現するには技術が欠かせません。技術の進歩は、従業員一人一人に成功へのロードマップを選択できる環境を生んでくれます。

技術を使って「従業員にとっての選択肢を増やすこと」は、なぜ重要なのか

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