医療のDXを推進 NECらが量子暗号で安全にデータを共有する実証実験に成功

NECらは、電子カルテの伝送やバックアップにおいて量子暗号を利用する実証実験に成功した。医療機関間で、機微性が極めて高いデータを安全に共有する仕組みの確立が期待できる。

» 2020年10月23日 07時00分 公開
[ITmedia]

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 NECと情報通信研究機構(NICT)、ZenmuTechは2020年10月22日、電子カルテの伝送やバックアップにおいて量子暗号を利用する実証実験に成功したと発表した。

 実証実験は、診療情報を交換を目的としたシステムの標準規格である「SS-MIX標準化ストレージ」に対応した電子カルテデータの伝送そのものを秘匿し、広域ネットワーク経由で秘密分散技術によるバックアップを実施するシステムの検証を目的としたものだ。

 NECらは、同システムを利用し、高知県・高知市病院企業団立高知医療センター(高知医療センター)との間で、電子カルテのサンプルデータの相互参照にも成功した。医療分野における量子暗号の実用化が期待できる。

 NECによると、医療機関は、災害時においても医療サービスを維持する必要があるため、患者の電子カルテデータを遠隔地に秘匿して保管し、いつでも復元して取り出せる仕組みが必要だという。

 質の高い医療サービスの提供や医療従事者の業務効率化のため、医療機関間において、電子カルテや医用画像などの医療情報の共有が求められている。こうした医療データは、機微性が極めて高い個人情報であるため、同機関間で安全にデータを共有する仕組みが必要とされる。

実証実験のシステム構成図(出典:NEC)

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