NECが社長交代、次期社長の新たな戦略は? 「5つの発言」から掘り下げるWeekly Memo(1/2 ページ)

NECが社長交代を発表した。順当なトップ人事のようだが、ニューノーマル、そしてDXへと時代が大きく変化する中で、新社長はどのような経営のかじ取りを進めるつもりなのか。

» 2020年12月07日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]

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 NECは2020年11月30日、2021年4月1日付で副社長兼最高財務責任者(CFO)の森田隆之氏が社長兼最高経営責任者(CEO)に就任するトップ人事を発表した。現在、社長兼CEOを務める新野 隆氏は副会長に就き、森田氏とともに代表権を持つ。

Photo 記者会見に臨む新野氏(左)と森田氏

 両氏は同日、オンラインで開いた記者会見で、この発表について説明した。本稿ではその中から5つの発言をそれぞれ1章として取り上げ、交代理由や発表のタイミング、そして次期社長はどのような経営のかじを取るつもりなのか、について探ってみたい。

「新中期経営計画に向けてグローバルでさらなる成長を目指す上で最もふさわしいリーダーだと判断した」(新野氏)

 新野氏が陣頭指揮を執って推進中の中期経営計画(2018〜2020年度)は、「収益構造の改革」「成長の実現」「実行力の改革」という3つのテーマを掲げ、それぞれに2020年度で売上高営業利益率5%超の達成、成長領域の明確化、実行に向けた社員の意識改革に取り組んできた。

 これをベースに、2021年4月から始まる新中期経営計画では、新常態(ニューノーマル)やデジタルトランスフォーメーション(DX)といった時代の変化に対応するとともに、NECとしてはとりわけ日本および国外を含めたグローバルでのさらなる成長が大命題となってくる。

 そうした中で、新野氏が森田氏に次期社長を託すことにした理由とタイミングを「新中期経営計画に向けてグローバルでさらなる成長を目指す上で最もふさわしいリーダーだと判断した」と述べた。新野氏はその理由について「グローバルビジネスや事業開発、CFOを務めた豊富な経験とともに、現在、新中期経営計画の策定を中心になって進めており、その実行についても陣頭指揮を執るべきだからだ」と説明した。

「注力領域においてグローバルで革新をリードする、日本を代表するテクノロジーカンパニーになる」(森田氏)

 森田氏は1983年3月に東京大学法学部を卒業後NECに入社し、米国に赴任して同社初の大型買収を手掛けるなど、長年M&A(合併/買収)戦略を担い、海外事業の責任者も務めた。また、研究開発と技術力を収益につなげる事業開発力の強化にも注力してきた。

 同氏がNECの掲げる目標について「注力領域においてグローバルで革新をリードする、日本を代表するテクノロジーカンパニーになる」と述べた。

 「私が新社長として期待されているのは、現在推進中の中期経営計画の流れを止めることなく、これまでの自らの経験を生かし、新中期経営計画でNECをさらなる高みへ引き上げていくことだと認識している」と森田氏。その「高み」の姿として表現したのが、上記の発言である。注力領域としては、デジタルガバメント、デジタルファイナンス、第5世代移動体通信(5G)、人工知能(AI)などを挙げた。

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