非IT業界にクラウド化の波を起こせ――インフォアが掲げる“4カ月以内で高速導入”戦略の中身

製造や食品、流通といった各業界や中小企業などのニーズに特化したクラウドソリューションを手掛けるインフォアが注力するのが「顧客の要件を把握しつつ、16週間で導入する」という敏しょう性だという。業務プロセスに合わせたカスタマイズのニーズも少なくない日本市場で“高速導入”をどう進めようというのか。

» 2020年12月08日 07時00分 公開
[阿久津良和ITmedia]

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 業界特化型クラウドソリューションを提供するインフォアジャパン(以下、インフォア)は2020年12月3日、新会計年度となる2021年度(2021年1月〜2021年12月)の経営方針説明会を開催した。2020年度におけるSaaS受注契約の年次成長率は、前年度比2倍のプラス100%だが、オンプレミスの受注契約の年次成長率はマイナス38%で、両者を掛け合わせるとプラス37%という結果になった。

 同社の三浦信哉社長は「あらかじめこのような結果は想定していた。オンプレミスからクラウドへの移行が順調に進んだ結果だと認識している」と説明した。SaaSとオンプレミスの比率も61%(SaaS)対39%(オンプレミス)と、SaaSが大きく上回った。三浦氏は「4年前にマルチテナントクラウド(以下、MT)のビジネスを始めたときは、(クラウド対オンプレミスの比率が)数%対99%だった」と述べ、非IT業界でもクラウドが浸透していることを裏付けた。

インフォアの三浦信哉社長

倍々成長を目指すインフォア 戦略を支える4つのキーワード

 インフォアは、製造業界や消費財業界、流通業界など各業界に特化したクラウドERPを提供する。同社は2021年度に向けた中長期の戦略として「継続的な二桁成長」を掲げる。三浦氏は「いきなり120%という成長も不可能ではないが、その後も安定的な成長を遂げるには、組織や市場などを鑑みると難しい」と述べながら、2023年までに売り上げを1.5倍、SaaSとオンプレミスの比率を80%対20%、直接販売と間接販売の比率を2020年度の79%対21%から70%対30%に変えることを目指すと明らかにした。

 同社は販売パートナーやクラウド活用支援に当たるクラウドパートナーを募集しており、2020年度も9社のパートナー獲得に成功した。うち2社はクラウドパートナーだという。

 インフォアの戦略を表す4つのキーワードがある。1つ目は「No Customer Left Behind(顧客を置き去りにしない)」だ。クラウドファーストかつ業種特化型のソリューション基盤に、既存顧客向けには「オンプレミスからクラウドへ移行させるプロモーションに注力する」(三浦氏)。

 2つ目は「Sell Repeat Extend」だ。新規顧客獲得のために「マーケティングを活用しながら確実に契約を取り、実績を積み重ね、顧客事例のレファレンスを業界内で横展開させる」(三浦氏)。

 3つ目は「Edge Solution & Infor Agility(エッジソリューションとインフォアの敏しょう性)」だ。競合他社との差別化について、三浦氏は「われわれは他社と比べて各産業に特化していることに加え、周辺のエッジソリューションが充実している。また、導入における技術革新も実現できる」と話す。

 4つ目は「Partner Ecosystem(パートナーエコシステム)」だ。三浦氏は「さらなる成長のために、パートナーエコシステムの拡大が重要。われわれ一社では限界があり、人的資源も限られる」と話す。

各業界に向けたソリューションを16週間で導入へ――その方法は?

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