大企業向けクラウドで「唯一無二の存在」になれるか? 日本オラクルの三澤新社長が新戦略を発表次世代クラウドの強みをアピール

日本オラクルの執行役社長に就任した三澤智光氏が、就任後初めて記者説明会に臨んだ。AWSをはじめとする競合がひしめく中、Oracle Cloudをアーキテクチャから刷新した、いわゆる「Gen2 Cloud(第二世代クラウド)」が狙う市場は大企業向けだという。その根拠と今後の戦略について聞いた。

» 2020年12月15日 07時00分 公開
[高木理紗ITmedia]

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 日本オラクルは2020年12月14日、同月1日に就任した三澤智光執行役社長による事業戦略説明会を開催した。

 三澤氏はかつて1995年から約20年もの間日本オラクルに在籍し、データベース事業やクラウド事業を率いたのち、2016年から2020年まで日本IBMでクラウド事業をリードした経験を持つ。本2020年10月からは米Oracleのシニアバイスプレジデントとして籍を置く。

オンライン事業戦略説明会に登壇した日本オラクルの三澤智光執行役社長

 同氏は日本オラクルが目指す姿について「顧客のニーズに最適なクラウドを提案することがベンダーとしての義務だ。顧客とともに、データドリブンなデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する“トラステッドテクノロジーアドバイザー”でありたい」と話し、クラウド事業を中心とした新戦略を明らかにした。

 日本オラクルは、自社クラウド「Oracle Cloud」を刷新し、同社が「Gen2 Cloud(第二世代クラウド)」と呼ぶ、ネットワークやデータベースに自律型、自動化機能を備えたクラウドを展開してきた。2019年に国内初のフルリージョンである東京リージョンを開設し、2020年2月には2カ所目として大阪リージョンを開設している。

次世代クラウドの「強み」を顧客の現場にどう還元するのか? 自社ノウハウを生かした3つのポイント

 「日本オラクルの戦略は、すなわち製品の戦略だ」として、三澤氏は3つのキーワード「DX」「Mission Critical Hybrid(ミッションクリティカルなハイブリッド環境)」「Social Infrastructure(社会基盤におけるDX推進)」を挙げた。

 この3つのキーワードを基に、日本オラクルはクラウドネイティブな技術を活用して顧客のビジネス変革を推進しつつ、そのIT環境をより柔軟かつ高機能なハイブリッドクラウド環境で支え、かつ三澤氏が「今や社会基盤」と話すデータベース技術を使った社会貢献を進めるという。

日本オラクルの2021年の戦略における3つのキーワード(出典:日本オラクル)

 このうち、顧客にクラウドを提供する過程で鍵になるのがDXだ。日本オラクル自身が実際に取り組んできた自社のビジネス変革や業務変革「Oracle@Oracle」で蓄積したノウハウを活用する。

 同社においては、既にOracle Cloudの機能を活用した受注業務の自動化や、契約書の電子化などが進む。また、社員がテレワークする状況で、四半期決算にかかる日数を19日間から16日間まで短縮し、人事評価の作業に費やす時間を7割減らすといった効果も出ているという。

 実際に顧客のDXを支援する過程において、日本オラクルが注力する領域も3つある。

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