DXを支えるのは、社員13万人の「意識変革」――富士通が全力で進めるプロジェクトの勝算【特集】2021年、DXのビジョンは

グループ社員13万人を対象に、2020年から全社を挙げてDXプロジェクト「フジトラ」を進める富士通。全員のKPIを含めた意識の変革を大胆に進める同社の現在地と、2021年に進む先とは。プロジェクトをけん引する人物に話を聞いた。

» 2021年01月08日 07時00分 公開
[松岡功, 高木理紗ITmedia]

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 2020年7月に全社DX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクト「Fujitsu Transformation(通称:フジトラ)」を立ち上げた富士通。グループ社員13万人を対象にした取り組みは、日本の大企業を象徴する大改革だ。2021年以降はどう取り組むのか。推進役を担う福田 譲氏(CIO兼CDXO補佐)に聞いた。

DXは「企業が生き残っていくために必須の取り組み」

――富士通は2020年7月にDXプロジェクトをスタートしましたが、まずはDXに取り組む意義についてお聞かせください。

福田 譲氏(以下省略): DXは、企業が今後生き残るために必須の取り組みだと考えています。今後も世の中に必要とされ、社員が働きがいを持ってお客さまと日々楽しく仕事ができる企業でありたいと思います。そのために、企業は時代の変化とともに自らも変わり続けなければいけません。DXはそのための必須の手段であると理解しています。

――その理解は、福田さんの目から見て社内に浸透しつつありますか。

富士通の福田 譲氏(執行役員常務 CIO兼CDXO補佐)

 理解は広がっていると思います。というのは、DXはデータをどう活用するかが重要なテーマですが、肝心なのはデータを集めて分析した内容を受けて自分たちが何をどう変えていくかを考え、行動することです。フジトラは今「VOICE」という仕組みを使ってお客さまや社員の声を集めていますが、そこで得た気付きや洞察を基にさまざまなことを変えていこうという動きが出てきています。マネジメントサイクルのPDCAで言うと、「A(Act)」までしっかりと進めないと意味がないと、私は考えています。

――そうした動きには、経営としての意思決定も必要になってきますね。フジトラでは経営サイドの取り組みも既に行われているのですか。

 はい。例えば、2020年12月上旬にはグローバルで実施したお客さまのNPS(ネットプロモータースコア)調査の結果を社長以下経営陣で共有し、それを踏まえた経営のアクションを討議する役員会議「カスタマーエクスペリエンスボート」を初めて開き、何をどう変えていくかという施策を第一弾として打ち出しました。早速、アクションが始まると思います。

――フジトラでは既にさまざまな取り組みもスタートしていますね。

 フジトラをスタートするに当たって公表した働き方改革のための「Work Life Shift」や、データドリブン経営のための「One Fujitsu」などは、もちろん取り組みが始まっています。また、フジトラを推進するための組織体制も計画通りに設置し、必要な人材を配置しました。ただ、プロジェクト全体の進捗(しんちょく)でいうと、2020年はWork Life ShiftやOne Fujitsuのように大きなテーマである「登る山」を決めて、登るための準備を進め、いよいよ登り始めたという段階です。とはいえ、DXではまず登る山をしっかりと定めて動き出すことが非常に重要なので、そこは前進したと思っています。

“6回ウラ”までが辛抱だ――DXプロジェクトの目指す場所は

――フジトラの取り組みは2023年3月末(2022年度末)を区切りとしていますが、実際に取り組み始めてからの社員の反応など、想定と違う面はありますか。

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