Z世代(18〜25歳まで)の60%は、日々の仕事を「なんとか切り抜けている(Surviving)」または「悪戦苦闘している(Struggling)」と回答し、苦境に立たされていることが分かった。
Z世代は、独身でキャリアの早い段階にいる割合が高く、孤立感を感じたり、仕事のモチベーションが上がらなかったり、自宅に適切な職場環境を作るための経済的な余裕がなかったりする可能性が高いと考えられる。調査対象者のZ世代は、「仕事と生活のバランスを取るのに苦労している」との回答が、上の世代と比べて8%高く、「1日の仕事の後に疲れを感じる」との回答も8%高かった。また、仕事に夢中になったり、会議で発言したり、新しいアイデアを出したりすることが難しいと考えていることも分かった。
しかし、新鮮な視点を提供し、現状を打破することができる新しい世代の貢献は重要であり、Z世代が目的意識と幸福感を感じられるようにサポートすることは、ハイブリッド化を進める上で緊急の課題といえる。
リモートワークへの移行によって、職場の「人的ネットワーク」が縮小し、デジタルの世界で組織のサイロ化が進んだことが分かった。人脈がなくなると、新しいアイデアが入りにくくなり、イノベーションが起こらなくなる。
パンデミックの発生時には、チーム内など、「親しいネットワーク」とのやりとりが増えた一方で、他のチームや部門など、「遠いネットワーク」とのやりとりが減ったことが分かった。身近なネットワークとの交流は、パンデミック後も頻繁に行われているものの、時間とともに減少し始めている傾向も見える。
ただし、ハイブリッドな働き方によって、幅広い人的ネットワークの復活や活性化が起こることで、イノベーションの促進が見込めることも分かった。ニュージーランドのチームの例では、ロックダウン中はチームが孤立化(遠いネットワークとのコミュニケーションが減少)するものの、ロックダウンが解除されると、このコミュニケーションが活発になった。
リモートワーク中に5人に1人は同僚のペットや家族を見掛けるなど、同僚の人間的な側面に触れたことで、信頼感が増し、「職場がより人間らしい場になった」と思う人が増えたことが分かった。このような同僚との交流は、“自分らしさ”を発揮しやすい職場を育むのに役立つと考えられる。
調査では、40%近く(39%)の人が、パンデミック発生前の1年前よりも職場で自分を“さらけ出す”ことに抵抗感がなくなり、6人に1人(17%)がこの1年で同僚と共に涙を流した経験があると答えた。この割合は、教育(20%)、旅行・観光(21%)、医療(23%)など、この時期に大きな打撃を受けた業界ではさらに高かった。
また、以前よりも同僚と緊密に交流するようになった人は、仕事上の人間関係が強化されただけでなく、生産性が向上し、ウェルビーイング(仕事も私生活も含めた全体的幸福度)が増したと回答していた。
コロナ禍の2020年3月〜2021年2月の間、LinkedInに掲載されたリモートワークの求人数は5倍以上に急増し、求職者の注目を集めた。また、調査対象者となった世界の労働者のうち、リモートワークを前提に1年以内に引っ越しを考えている人は46%に上った。
リモートワークの普及により、キャリアを築くために家や地域を離れる必要がなくなったことから、人材の流動化が起こり、人材市場の拡大に影響を与えた。
これは、企業や組織にとって、遠方に住む人材や、これまでとは異なるスキルを持つ人材を獲得する可能性の拡大につながる。
一方、企業や組織にとって、柔軟な働き方に対応し、人材の流動性を認めることにより、職場にディスラプション(破壊的創造)を引き起こす可能性があることも理解しておく必要がある。調査対象者の41%が「2021年中に現在の職場を辞めることを検討」していることも分かった。
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