長い年月をかけてサプライチェーンを最適化してきた企業は多い。しかし、コロナ禍で彼らが在庫が不足し、生産をやむなく停止する企業も出てきたことで、非常時でも在庫を確保できる“レジリエンス”不足を指摘する声も出てきた。これは果たしてジャストインタイム方式の弊害なのか。
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コロナ禍で多くの企業がサプライチェーンに打撃を受け、製品の供給不足に陥っている。非常時に顧客のニーズに合うだけの在庫を確保するために、企業のCFO(最高財務責任者)はサプライチェーンの在庫削減を極めた「ジャストインタイム方式」の生産を再考すべきなのか。
米国のサプライマネジメント協会(Institute for Supply Management)でCFOを務めるデビー・フォーゲル-モニッセン氏は「何らかの形で再び(市場における)需要のバランスが落ち着くまでの間、企業のCFO(最高財務責任者)はジャストインタイム方式の使い方を考え直す必要がある」と話す。コロナ禍において、以前のように在庫を最小化してサプライチェーンのコストを下げることではなく、あえてコストをかけてでも安全在庫を確保し、サプライチェーンのレジリエンス(回復力)を上げておくことが優先事項だと分かってきたためだ。
「今後、たとえ経済が回復したとしても、サプライチェーンのレジリエンスを確保していない企業は、消費者が望む商品を望むタイミングで提供できなくなる状況が生じた場合にビジネス成長の機会を逃したり、ブランドへの信頼性を失ったりする可能性がある」と、フォーゲル-モニッセン氏は述べる。
コロナ禍は需要と供給の急速な変化をもたらし、世界のサプライチェーンに打撃を与えた。
「ジャストインタイムにはその性質上、ある程度の予測可能性が必要だ。コロナ禍はそのサイクルを断ち切ってしまった」(フォーゲル-モニッセン氏)
とはいえ、ジャストインタイム方式が、コロナ禍においてCFOが懸念するような経営問題を引き起こすと誰もが信じているわけではない。
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