配達需要で進む物流DX 米国の大手スーパー「黒字化に4年」でも自動配送センターに1億ドル投資する理由Supply Chain Dive

コロナ禍で配達の需要が高まる中、米国の小売業界で大手スーパーのKrogerが大規模な投資を発表した。英国のネットスーパー大手と提携し、ロボットを駆使した自動化型の配送拠点を複数開設し、初期だけで1億ドルの投資を決めた。同様の施策に二の足を踏む同業他社もある中「それでも店舗に投資するより効率的」と幹部が語る背景とは。

» 2021年08月20日 09時00分 公開
[Edwin LopezSupply Chain Dive]

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Supply Chain Dive

 米国のスーパーチェーン大手であるThe Kroger Company(以下、Kroger)が、1億ドル以上の資産を投じてITを使った物流のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めている。同社は2021年、フロリダ州タンパとジャクソンビルに2つのクロスドッキング(注)施設を開設した。

(注)クロスドッキング:物流において、輸送センターに届けられた商品を一定の期間保管することなく、すぐに小売店舗や物流センターといった配送先別に仕分けて出荷、配送すること

 2つの施設はKrogerの子会社であるKroger Fulfillment Networkの管轄だが、Krogerの決算発表(出典1:記事末に記載)で、同社のチェアマン兼CEO、ロドニー・マクマレン氏は、2つの施設がそれぞれKrogerの配送を促進する「ハブアンドスポーク」方式(注)の「スポーク」として機能するとしている。

(注)ハブアンドスポーク:大規模な拠点(ハブ)に貨物を集中させ、そこから各拠点(スポーク)に分散させる物流の概念

 2つの施設は、フロリダ州グローブランドにある同社の中央管理型倉庫(CFC:Centralized Fulfillment Center)、つまり「ハブ」で受け付けた注文の配送ポイントとして機能する。センターから90マイル以上離れ、かつ2つのスポーク拠点から半径90マイルの範囲内に住む顧客に配送する荷物を扱う。同社の物流DXで中心的な役割を果たす技術とはどのようなものか。

自動配送システムに1億ドル以上の投資 Krogerが英国のネットスーパーと“共創”する理由

 Krogerは、CFCとクロスドッキング施設に大きな期待を寄せている。ハブアンドスポーク方式のおかげで同社はフロリダ州の市場で優位に立てる可能性があるが、その“賭け”には多額の先行投資が必要だ。

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