海の物流DX 出光が深層学習AIで「複雑過ぎてベテラン頼み」だった配船計画を自動化した道のり足かけ3年の挑戦

AIを使った計画業務の自動化は各業界で進むが「さまざまな自然現象を考慮しなければならない」「突発的に変化し得る要素が多過ぎる」といった理由で難しかった配船計画の自動化に挑むのが出光興産だ。数年の構想を経て見つけた協力ベンダーとの実証実験を終え、本格的な展開に向けて進んでいる同社の計画とは。

» 2021年06月08日 07時00分 公開
[谷川耕一ITmedia]

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 製品の生産計画や商品の配置計画など、AI(人工知能)を使った計画業務の自動化は各業界の主要分野で進む。一方で「さまざまな自然現象を考慮しなければならない」「突発的に変化し得る要素が多過ぎる」といった理由で自動化が難しい業務もある。その一つが海上でモノを運ぶ輸送船の配船計画だ。

 2021年初めにスエズ運河が大型船の座礁で通行止めになり、全世界の物流に影響や損害が出たことは読者の記憶にも新しいだろう。配船計画には航路の状況や気象状況、船舶や船員の状況といった要素が複雑に関わり、状況は刻々と変化する。そのため、必要な要素を熟知した従業員に計画業務を依存しがちだという。

 配船業務をAIで自動化しようとしているのが、原油の輸送や石油製品の製造をはじめとしたエネルギー事業を手掛ける出光興産だ。長い準備をかけた実証実験で手応えをつかんだという同社の挑戦はどのように進んだのか。同社が陸路の物流システムを変革した過程を取り上げた前編に続いてお届けする。

メールや電話で情報収集、1日3回修正する場合も――複雑な配船計画の舞台裏

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