これからはCXが重要だと顧客情報の統合を進めたとしても、社内手続きが旧来通りの縦割り構造では、顧客体験も刷新できず「残念なまま」になりかねない。この状況を打開しようと、欧米を中心にレベニューオペレーション組織を設置する企業が増えているという。
「モノの売り方が変わった」という言説は至るところで耳にするようになった。体験を売る「コト売り」重視や、顧客ペルソナを細分化してきめ細かな提案をするスモールマスマーケティングや物語体験を価値に変えるプロセスエコノミーが一例として挙げられる。デジタル体験とアナログ体験を融合させた(Online Merges with Offline)に至っては更に仮想空間を含む体験デザイン統合の可能性も語られるようになってきた。
これら顧客体験を提供するため従来は顧客接点情報の統合が重視されてきた。だが、顧客接点情報を統合して企業フロントの対応に一貫性をもたせたとしても、バックエンド側のオペレーションが連動していなければ結局は顧客体験を損なってしまう。顧客体験の最適な設計のためには、前述した施策では不十分というのが、近年のマーケティング専門家の間での共通認識だ。
いま、この課題を解消する目的で「レベニューオペレーション」という概念が米国を中心に急速に広がっているという。
日本企業においてもレベニューオペレーションが重要であると主張するのがHubSpot Japanだ。同社の亀山 將氏(マーケティングチームマネージャー)が語ったのは「収益力を高めるためのバックオフィス自動化」の重要性だ。
フロントエンドの顧客接点情報が統合したとしても、経理などの企業内のオペレーションのサイロが解消されなければ、結局、顧客に二度手間となる作業を強いてしまったり、必要なときに必要な商品を提供できなかったりして顧客体験を損なう。顧客接点に投資をしてもバックオフィス側をないがしろにしていては効果が出ない。亀山氏は、バックオフィスのオペレーションには「プラットフォーム」「プロセス」「パースペクティブ」の3つの役割が必要であり、それぞれに理想的な在り方があると説明する。
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