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» 2021年11月18日 01時35分 公開

花王のリモート決算体制は「DCPA」で推進 国内グループ各社のシェアードサービスセンター化を目指す(1/3 ページ)

コロナ禍でオフィスに出社しての業務が難しくなった花王の会計財務部門は、決算業務をテレワークに対応させるプロジェクトを始動させた。決算リモート化に向け、同社はどのようなアプローチを採ったのだろうか?

[名須川 竜太,ITmedia]

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出社率抑制のため経理業務のテレワーク対応が急務に

花王 会計財務部門 管理部長の牧野秀生氏 花王 会計財務部門 管理部長の牧野秀生氏

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって多くの企業はオフィスへの出社を前提にした働き方、紙の書類や押印を前提にした業務プロセスの継続が困難になった。それは日用化学品メーカーとして洗剤など各種の消費財を提供する花王の会計財務部門も例外ではない。

 同部門はこれを機に紙と印鑑に依存していた旧来の決算業務スタイルと決別し、テレワークに対応したオンライン決算基盤を導入。マッチングや自動仕訳などの機能を駆使した業務効率化も進めている。

 「絶えざる革新」をモットーとする花王の会計財務部門では、コロナ禍以前から常に現状を改善する活動を続けてきた。例えば、2003年に海外拠点へSAP ERPを導入して業務標準化を図り、2008年に国内拠点にもSAP ERPPを展開。2018年にはグローバル経営の強化を目指し、4つのSAPインスタンスの会計データを統合した「グローバル・マネジメント・アカウンディング・プラットフォーム」(GMAP)と呼ぶ会計基盤を構築し、2019年には国内の経費精算基盤として「SAP Concur」を導入するなど、ITを活用した経理業務の高度化と効率化に努めてきた。「あらためて振り返ると、一般会計や制度会計などオペレーショナルファイナンスの領域にはあまり投資をしていませんでした」と会計財務部門 管理部長の牧野秀生氏は話す。

会計財務部門の状況 会計財務部門の状況(出典:牧野氏の講演資料)

 こうした中で2020年3月頃を境にコロナ禍が始まると、花王は会社全体で出社率を30%以下に抑えることが決めた。ただし、これは製造や販売などの現地での業務遂行が不可欠な部門を含む割合であり、会計財務などのコーポレート部門は出社率を10〜20%に抑える必要に迫られた(注1)。

(注1) 会計財務部門では全社で約700人の経理部員が働いており、そのうち約230人が国内の経理組織に在籍している。


 当時、同社の経理業務プロセスでは、多くの作業をマニュアルで行っていたという(下図の赤丸で囲った業務)。

 「例えば、『振替伝票を紙に出力して、それに担当者がサインし、さらに上長がサインする』といったことを当たり前のようにやっていました。出社率を10〜20%に抑えるために、このプロセスを大きく変える必要に迫られました」(牧野氏)

コロナ禍以前の会計財務部門の業務プロセス(出典:牧野氏の講演資料) コロナ禍以前の会計財務部門の業務プロセス(出典:牧野氏の講演資料)

 そこで、同社は業務をテレワークに対応させる方法の検討を開始する。

本稿はクラウド型決算プラットフォームを提供するブラックラインが開催したオンラインイベント「Modern Accounting Experience」(2021年8月開催)における花王の講演を基に再構成した。


欧米拠点で先行していた手法を「スモール&クイック」で導入

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