サードパーティーデータが使えない中で、オンラインマーケティングの品質を高めるにはどんな方法が考えられるだろうか。検索ビッグデータを公開するヤフーは、個人情報を提供しない一方でさまざまな消費者ペルソナの嗜好や行動を探るヒントとなるデータを公開している。これらのデータはどう稼ぐ力に反映させればいいのか。ヒントを紹介する。
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「自社で収集したデータだけではリアルタイムでの社会トレンドをつかみにくい」「過去のトレンド変化から未来予測したいが手がかりが少ない」と悩むマーケティング担当者がいま注目しているのがWeb検索キーワードと利用者属性の統計データだ。分析の具体的事例が語られることが少ないなか、AWSの消費財事業のキーパーソンがトレンド分析のサンプルを示した。
ヤフーは同社が保有する検索キーワードの統計データを外部組織が利用できるデータソリューション「DS.INSIGHT」を2019年から提供している。これはWebブラウザ上で利用者自身がヤフーの多様なサービスから取得した統計データを活用できるサービスだ。2020年11月からは「DS.API」としてデータへのAPIアクセスも提供する。独自のアプリケーションやDS.APIと連携するBIツール(Tableauなど)での分析を実現しやすくした。
2022年1月18日の「Yahoo! JAPAN DATA CONFERENCE 2022」では、AWSの消費財事業開発を進める松本鋼治氏が、ヤフーのデータソリューション事業本部の小沼剛サービスマネージャーとともに、消費財業界のトレンド分析にDS.APIを活用するサンプルを示した。ヤフーの検索データから化粧品に関する「カスタマイズデータ」を取り出し、その中から時系列キーワードデータ(特定キーワードの検索前後の検索キーワードの統計的データ)と、厚生労働省のオープンデータを利用したサンプル分析だ。
本記事は「Yahoo! JAPAN DATA CONFERENCE 2022」での講演をもとに再構成したものです。
松本氏はDS.APIで取得したデータをクラウドBIツール「Amazon QuickSight」を使ってWebブラウザで分析した例を示した。CSVデータをQuickSightにアップロードし、編集画面で数値の時系列推移などを数クリックで可視化できる。定期的に同じ分析を行う場合はダッシュボードを設定できる。
分析の一例としてまず紹介されたのは、化粧品ブランド名に注目し、2021年の検索数の年推移をグラフ化した例(図3)だ。図を見ると分かる通り、関連検索数が特に多いブランドが、2021年6〜9月に急激に右肩上がりになり、少しするとやや落ち着く傾向を示しているのが特徴的だ。なぜこのような動きになったのだろうか。
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