エネルギー業界のDX、デジタルネイティブ企業はどう見る? 「エネルギーの無価値化」に取り組むデジタルグリッド「DXリーダーに聞く」 エネルギー×DX(1/2 ページ)

エネルギー業界で進むDXを追う本連載に初のベンチャー企業が登場する。デジタルネイティブ企業でもあるデジタルグリッドはエネルギー業界のDXをどう見るのか。そして、同社が取り組む「エネルギーの無価値化」とは何か。

» 2022年03月16日 13時32分 公開
[田中広美ITmedia]

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 日本の産業を土台から支えるエネルギー業界において、デジタルトランスフォーメーション(DX)はどのように進むのか。DX推進における課題は何か。そして、DX進展後のエネルギー業界はどのような様相になるのだろうか。

 「エネルギー×DX」の第3回となる今回は、ベンチャー企業であるデジタルグリッド社長の豊田祐介氏に話を聞いた。太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー(再エネ)の最大限の活用を目指す同社が手掛ける民間初の電力取引所の役割とは何か。デジタルネイティブ企業である同社から見たエネルギー業界におけるDX推進の「壁」とは?

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 デジタルグリッドは、電源開発出身の阿部力也氏が東京大学大学院教授時代に創設した総括寄付講座「電力ネットワークイノベーション(デジタルグリッド)」として2011年に誕生した。その後、2017年10月に「デジタルグリッドプラットフォーム」として創業し、同年12月、現在のデジタルグリッドに社名を変更した。

 2020年2月に電力取引システム「DGP」(デジタルグリッドプラットフォーム)を商用ローンチし、同年3月に「DGP」(環境価値取引プラットフォーム)としてJクレジットプログラム型認証を取得した。

 同社が手掛けるのは、電力及び環境価値取引プラットフォーム――。つまり、これまで公的に運営されてきた電力や環境価値(注1)の取引所の民間版だ。

(注1)再生可能エネルギーなど環境負荷が低い電気から「電気」本体の価値を切り離し、「環境負荷が低い」価値のみを切り出したもの。

 デジタルグリッドが目指すものは何かと問うと、豊田氏は「太陽光発電を最大限に利用するための仕組みを作ること」と答えた(以下、特に断りのない発言部分は豊田氏によるもの)。

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