HISが顧客ペルソナ構築に使った外部データ、その中身と使い方は(1/2 ページ)

まだ見ぬ未来の顧客はどんな人か。自社データ基盤にはない未来の顧客のペルソナをどう精緻に描くか。コロナ禍の環境変化で消費マインドが変わる中でも継続して、良いタイミングに良い接点を持ち続けるためにHISが実践する外部データ活用の中身を見る。

» 2022年05月12日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

 コロナ禍で大打撃を受けた業界の典型が旅行業界だ。海外および国内旅行事業やテーマパーク/ホテル運営など、多角的に事業を展開するエイチ・アイ・エス(以下、HIS)は、データ活用を中心に顧客一人一人に向き合うCX(カスタマーエクスペリエンス)向上戦略で盛り返しを図っている。

旅行事業におけるデータ利活用の課題

 HISの多角的な事業展開の中でも創業から主要な位置を占めるのが、旅行事業だ。HISの個人旅行営業本部で顧客により沿った旅行提案などに携わる渡辺真理氏は、データ活用で顧客理解や満足度向上を図るキーパーソンだ。その業務に資するデータソリューションを提供するのがヤフーのデータソリューション事業本部の辻井潤一氏だ。

 渡辺氏は以前からオンラインの旅行予約情報の分析を手掛けていたが、従来はWebサイトのアクセスログや予約情報など、社内で収集できるデータを対象としてきた。社内のデータのみを使ったデータ分析の課題は「HISとの接点を持たない層」の興味や関心を知る手掛かりが少ないことだった。

 「従業員全員が、新規のお客さまを含む全ての方の希望や条件に合わせて適切な行動をとるには、お客さまを知る情報が必要です。マーケティングの対象をまだ弊社と接点のない方にも広げるため、マーケット全体の情報を取得したいと、さまざまなツールを使いながら試行錯誤を続けてきました」(渡辺氏)

 ここで渡辺氏らが目を付けたのが、巨大なユーザー基盤を持つヤフーの提供データ活用だ。

※本稿は「Yahoo! JAPAN DATA CONFERENCE 2022」での講演をもとに編集部が再構成したものです。

移ろいやすい顧客のペルソナを明確に HISの外部データ活用、その中身と使い方

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