Workatoの導入成功事例に見るSaaS活用時の生産性向上のポイント(1/2 ページ)

複数のSaaSを人が連携させるケースが増えてきた。iPaaSを使った効率化はアイデア次第でさまざまな出口が考えられる。管轄や目的が違うSaaSどうしであっても気軽に連携する方法があれば、もっと包括的に仕事を効率化できるかもしれない。国内で先行する企業がどう使っているかを見てみよう。

» 2022年06月21日 08時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

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 さまざまなSaaSや既存システムが併存する企業システムで進むデジタルトランスフォーメーション(DX)では、サービス同士の接続や連携が重要課題となる。かつてのように大掛かりなシステム統合の時代とは異なるIT環境でのサービス連携や統合を、iPaaS(Integration Platform as a Service)である「Workato」(ワーカート)を利用して実現した事例を4社のDX担当キーマンが語った。本稿は前編としてそのうちの2社を紹介する。

Workatoはなぜ注目されるか

 Workato社は組織内外横断で業務を自動化するWorkatoを提供する企業だ(以降、Workatoと表記した場合はiPaaS製品を指し企業名はWorkato社とする)。

 Workatoはクラウドかオンプレミスかを問わず、アプリケーション間を連携するサービスを提供する。複数のSaaSとオンプレミスの自社アプリケーションを連携して処理を自動化する用途で利用できるため、部門を横断したワークフロー自動化も可能だ。

 Workato社は2013年に米国で設立された企業だが、近年、企業でのSaaS普及を追い風に事業を拡大しつつある。国内でも数年前から取り扱いがあったが、2021年11月に日本法人が設立された。国産iPaaSとして注目を集める「Anyflow」や「Microsoft PowerAutomate」の一部にも同様の機能があり、いずれも注目を集める。

 中でもWorkatoをいち早く導入した日本企業の中には既に業務の自動化で高い成果を出すところが出てきた。本稿はその中から2つの事例を紹介する。

本稿はWorkato主催イベント「自動化の祭典Automate 2022」での講演内容を基に編集部が再構成したもの。



経費精算のSaaSだけでは自動化できないプロセスをWorkatoで自動化、不正検知も

Ridgelinez Technology Group Managerの大久保 知洋氏 Ridgelinez Technology Group Managerの大久保 知洋氏

 富士通グループのDXコンサルティング会社であるRidgelinez(リッジラインズ)のTechnology Group Manager 大久保 知洋氏は、経費精算クラウドサービスだけでは実現できなかった業務自動化の経緯を語った。

 同社はSAPの経費精算クラウドサービス「Concur」を導入済みだったが、経費精算業務で申請者や承認者、人事総務部門のそれぞれのプロセスで自動化できない部分を人手で補完するオペレーションが残っていた。またデータが統合されるとはいえ、分析のためにはやはり人手が欠かせなかった。

 この人手を介する部分を合理化し、省力化を進め働き方改革につなげるとともに、ガバナンスの高度化やUXの統一によって生産性の向上を果たしたいというのが同社の課題だった。

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