「iPaaSは企業のデジタル化を推進する“武器”になる」 ITRアナリストが分析

ITRは、国内iPaaS市場について規模の推移と予測を発表した。iPaaS市場の2021年度の売上金額は対前年度比36.6%増の28億円となる見込みだ。同社は2021〜2026年度のCAGRを32.7%と見込み、2026年度の市場規模は115億円に達すると予測する。

» 2022年07月19日 07時00分 公開
[山口哲弘ITmedia]

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 アイ・ティ・アール(以下、ITR)は2022年7月14日、国内iPaaS(Integration Platform as a Service)市場の規模の推移と予測を発表した。同社によると、iPaaS市場の2021年度の売上金額は対前年度比36.6%増の28億円となる見込みだ。2022年度の成長率は2021年度を上回り、市場規模は同42.9%増の40億円になると予測する。

 iPaaSは、クラウドサービスだけでなくオンプレミスも含めた企業の各種システムを統合的に連携する製品やサービスを指す。APIによる統合に加え、EAI(Enterprise Application Integration)やESB(Enterprise Service Bus)、データベース連携、ファイル連携といった従来型のシステム連携も含む。多様なコネクターを備え、製品やサービスによってはローコード/ノーコード型の開発ツールやビジネスモデル設計支援、プロセス自動化、イベント駆動などの機能も備える。

デジタル化の進む企業が今後抱える「課題」は?

 ITRは、iPaaSのニーズが高まる要因としてSaaS(Software as a Service)を利用する企業が増えたことに加え、ハイブリッド環境やマルチクラウド環境を志向する企業が増加傾向にあることを挙げる。iPaaS市場に新規参入するベンダーも増加しており、市場の認知度は高まりつつある。こうした背景から、ITRはiPaaS市場の2021〜2026年度の年間平均成長率(CAGR)を32.7%、2026年度の市場規模は115億円に達すると予測する。

 分野別に見ると、RPA市場は既存ユーザーの利用拡大を受け、2021年度は対前年度比で20.4%増加した。ワークフロー市場は在宅勤務向けシステム対応などによって対前年度比18.1%増となった。テレワーク業務実態の把握手段として導入が進むタスクマイニング市場は対前年度比14.0%増となった。プロセスマイニング市場は認知度向上に伴って対前年度比71.7%増と高い成長を見せた。

iPaaS市場規模推移および予測(2020〜2026年度予測)(出典:ITRのプレスリリース) iPaaS市場規模推移および予測(2020〜2026年度予測)(出典:ITRのプレスリリース)

 ITRの水野慎也氏(シニアアナリスト)は「企業のデジタル化が進み、システム間でのデータ相互利用や、複数の業務プロセスにわたる処理の自動化に対するニーズが高まっている」と分析する。

 「iPaaSは、複数のシステムのハブとなってデータを受け渡すことに加え、定義したワークフローに基づいて処理を自動化する。今後、企業システムはさらに複雑で高度な連携が求められることから、拡張性や将来の保守性が大きな課題になる。このため、企業の各種システムを連携させ、一元的な管理を可能とするiPaaSは企業のデジタル化を推進する武器として利用が拡大すると予想する」(水野氏)

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