「クラウドのコスト増加をどうにか抑えられないだろうか」――。そんな悩みを解決するのがFinOpsです。実際のFinOpsの取り組みにはどのようなステップと役割が必要なのでしょうか。連載第2回となる今回は、「FinOpsの基本」について解説します。
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前回(連載第1回)は、欧米を中心に広がりを見せるクラウドコスト最適化の考え方「FinOps」が注目される背景について解説しました。
コスト最適化の考え方はクラウドの黎明期より、「Cloud Cost Optimization」 (クラウドコスト最適化)や 「Cloud Financial Management」(クラウド財務管理)といったキーワードで語られてきました。
クラウドコスト最適化のテーマに関心を持ったメンバーが中心となって2019年2月に米国で非営利団体「FinOps Foundation」を発足、2020年6月に「Linux Foundation」に合流して今日に至ります。FinOps Foundationは現在5300人を超える個人と1500社を超える企業が参加し、FinOpsにかかわるベストプラクティスの収集や発信、各種セミナーやトレーニングの開催、認定資格プログラムの提供などを積極的に行っています。
FinOpsには「標準規格」や「認定・認証制度」などはありませんが、FinOps Foundationが取りまとめる内容が支持され、共通言語的に利用されています。
今回は、このFinOps Foundationが公開する内容を参考にしながら、FinOpsの基本を解説します。
本連載は欧米を中心に広がる「FinOps」というクラウドコストを最適化するための考え方や、実践方法を解説していきます。守りのクラウド採用ではなく、攻めのクラウド採用を考えるとき、企業にとってコストの適正化は避けられない問題です。世界のリーダー達が取り組むFinOpsとは企業をどのようにサポートするのかを解説していきます。
FinOpsの活動は以下のように「Inform」(可視化)、「Optimize」(最適化)、「Operate」(実行)の3つのフェーズで構成されます。
詳しくは後ほど解説しますが、FinOpsではこれらの3つのフェーズを繰り返し行うことで、徐々に成熟度を高めていきます。以降で、この活動を具体的に「いつ」「誰が」「どのように」進めていくのかを順番に解説します。
FinOpsの活動が「コスト削減を目的とした一時的な取り組み」であれば、クラウドコストの増加が問題になったときに取り組み始めれば良いと思うかもしれません。
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