ヤマハ発動機が世界140拠点の経営情報をダッシュボードで一元化

ヤマハ発動機は、同社の経営基盤改革を支えるヤマハモータービジネスダッシュボードとグローバル連結会計システムの稼働を開始した。日本IBMとSAPジャパンが、同システムの導入や構築を支援した。

» 2022年10月12日 07時00分 公開
[山口哲弘ITmedia]

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 日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)とSAPジャパンは2022年10月11日、ヤマハ発動機が、同社の経営基盤改革を支える「ヤマハモータービジネスダッシュボード」(YBD)とグローバル連結会計システムの稼働を開始したと発表した。ヤマハ発動機は、同システムの活用によってDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。

全世界140拠点でシステム統一 

 YBDは日本や北米、欧州、アジア、中南米にあるヤマハ発動機の全拠点の経営情報を一元化し、可視化するシステムだ。経営判断の迅速化や需要予測のデータ活用による予知型経営を支援する。情報伝達や情報の共有工数を削減することで間接業務の標準化や効率化、サービス共有化によって経営資源を成長領域に配分できるようにする。

 YBDは財務、管理会計や月次の卸、小売、在庫などの台数、一部モデル別の台数といったデータを140以上の拠点から収集し、一元的に経営ダッシュボードで管理する。YBDの導入によって本社と各拠点が同じデータを共有し、意思を迅速に決定し、国内外の各拠点に実行方針を展開できるようになったという。ヤマハ発動機は現状をリアルタイムに把握し、主力製品の中長期需要を予測分析することで、予知型経営の実現を図る。

 今回、YBDとグローバル連結会計システムの導入や構築は日本IBMとSAPジャパンが支援した。エンタープライズデータウェアハウスパッケージである「SAP BW/4HANA」や情報活用に必要な機能をワンストップで提供する分析クラウドである「SAP Analytics Cloud」、グローバル連結会計管理ソリューションである「SAP Financial Consolidation」を利用し、日本IBMの製造業の業務変革や財務経理変革の知見と、SAP導入の経験、AI(人工知能)や分析などの技術を組み合わせて140拠点同時のダッシュボード化が実現した。

 ヤマハ発動機はSAP S/4HANAを導入することで2030年に日本と北米、欧州、アジア、中南米の全拠点の勘定科目を統一する。子会社や孫会社とも連携してモデル別の台数や採算を可視化する予定だ。全世界でシステムを統一して、決算の早期化や日次の小売データの把握、地域別の在庫データ把握、予測精度の向上などシームレスなデータ連携によるリアルタイム分析と経営判断を実施する。

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