Gap、Gucci、Forever 21 大手アパレルの参入でメタバース空間はどう変わる?Retail Dive

家具やアパレルなどのブランドが続々とメタバースプラットフォームへの参入を発表している。GapやGucciなどの有名アパレルが参入することで、メタバース空間はZ世代の期待に応えるものになるのか。

» 2022年10月31日 07時00分 公開
[Tatiana Walk-MorrisRetail Dive]

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Retail Dive

 家具メーカーのWest Elmは2022年10月4日(現地時間)、そのブランドをメタバースに拡張し、国際的なゲームプラットフォーム「Roblox」に「West Elm Home Design」というオンライン空間を立ち上げた。同オンライン空間には家具店やコーヒーショップ、商品ブティックがある。

 Robloxのユーザーは、150種類以上のWest Elmの商品をデジタル化して、自分のバーチャルな家をカスタマイズできる。また、Tシャツやバッグ、帽子などのWest Elmブランドのアクセサリーを集めて、自分のアバターに装着可能だ。

 オンライン空間では、ミニゲームや障害物競走、自撮りなどのアクティビティーを楽しめるとともに、トークンや賞品、景品を獲得できる。このオンライン空間やアイテムは、West Elmの現在の品ぞろえを反映するよう更新される予定だ。

GapやGucciの参入は、メタバース空間の価値を高めるのか?

 West Elmは、Robloxのユーザーが同ブランドの家具や装飾品で自己表現できるようにメタバース業界に参入した。同社によると、RobloxのユーザーはWest Elmの家具や照明、ガーデンアクセサリー、その他の装飾品を使って、オンライン空間を美しく飾れる。

 米国の小売業者であるWilliams-Sonomaの社長兼CEOであるローラ・アルバー氏は「私たちは会社をメタバースに拡大し、West Elmと全世界の何百万人ものRobloxユーザーとつながることに期待を膨らませている。West Elm Home Designの立ち上げによって、当社は強力なRobloxプラットフォームにおける初の住宅専門小売業者となり、ユーザーをWest Elm Neighborhoodに迎え入れることを楽しみにしている」と述べた。

 Robloxのこの取り組みには、上記のような家具とホームデコレーションを担う小売業者の他、ファッションブランドなども参入している。

 例えばWalmartは若い消費者を引き付けるために、「Universe of Play」「House of Style」という2つのRoblox環境を立ち上げた。また、Gapは2022年5月に「Club Roblox」というバーチャル体験を発表し、ファッションショーのミニゲームやジュースバー、フォトブースを備えている。Forever 21は2021年、Robloxユーザーが自分の店を充実させ、「トップショップ」になることを競うオンライン空間「Forever 21 Shop City」を立ち上げた。同社は、同年6月にはRobloxのForever 21 Shop Cityに「Barbie Summer 2022 Collection」を追加した。

 ファッションブランドはRobloxのエコシステムに深く潜り込んでいる。Gucciは2021年5月、Robloxで「Gucci Garden」を開設した。その1年後には、デジタルGucciアイテムを備えたバーチャル広場「Gucci Town」、アート制作のための「Creative Corner」、展示スペース「Vault Plaza」を公開した。

 Robloxはブランドや小売業者を引き付けると同時に、広告主にも働きかけている。先月このプラットフォームは、新たなゲーム内広告フォーマットである「Roblox Developers Conference」を発表した。同社は、ユーザーがデジタルアイテムをゲーム内通貨Robuxで販売できるMarketplaceの強化も進めている。

 ブランドや小売業者は、若い消費者にアピールするためにメタバースに参入しているが、このコンセプトがZ世代に受け入れられるかどうかは明らかではない。2022年初めに発表されたPiper Sandlerの調査によれば(注1)、10代の半数以下(48%)がメタバースに興味がない、またはよく分からないと回答している。

 Vice Media GroupとPublicis GroupeのRazorfishエージェンシーの別の調査によれば(注2)、Z世代ゲーマーの半数以上(52%)がメタバースで金銭を稼ぎたいと回答し、Z世代回答者の3分の1はブランドにバーチャルストアを作ってほしいと考えていることが分かった。

 若い消費者の中にはメタバースに興味を示さない人もいるが、このコンセプトが成熟するまでにはまだ時間がかかると警告する専門家もいる。Forresterの2022年7月のレポートによれば(注3)、消費者は10年以内に、あるデジタル環境から別のデジタル環境に自分の持ち物を持って自由に移動することはできないだろうと予測している。

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