中堅・中小企業はどのようなIT商材やソリューションを購入しているのか。ノークリサーチがユーザー企業1300社を対象に5カテゴリー、25項目について調査した結果を見てみよう。
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ノークリサーチは2022年11月14日、中堅・中小企業におけるIT商材やソリューション別の年間IT支出額と市場規模に関する調査結果を「2022年版中堅・中小企業のIT支出と業務システム購入先の実態レポート」として発表した。
同調査は、国内全業種の中堅・中小企業(年商500億円未満)に所属する情報システムの導入や運用、管理または製品やサービスの選定、決済の権限を有する職責者を対象に2022年7〜8月に実施し、1300社から有効回答を得た。
IT支出の対象としたIT商材やソリューションは以下の5カテゴリー、25項目だ。カテゴリー、項目ごとに1社当たりの年間支出額を算出し、実企業数を踏まえたIT市場規模を年商別や業種別、地域別に集計した。
カテゴリーごとのIT市場規模を集計した結果、中堅・中小企業全体のIT市場規模は2兆700億円だった。
内訳は「DX関連ソリューション」が8060億9千万円で最も多く、「業務アプリケーション」の4546億2千万円、「ハードウェア」の4401億6千万円、「クラウドサービス」の1965億円、「その他のサービス」の1551億円が続いた。どのカテゴリーにも属さない「その他」は221億5千万円だった。
消費のトレンドが「所有から利用へ」と変化する中でも、依然として市場規模は大きい順に「DX関連ソリューション」「製品」(業務アプリケーションやハードウェア)、「サービス」だったことから、ノークリサーチは「中堅・中小企業のIT活用におけるサービス化に向けた変化はこれからが本番だ」と分析する。
次のグラフは25項目の中から「デジタル接客の取り組み」「情報系システム」「ネットワーク機器」「IaaS(Infrastructure as a Service)、ホスティング」について市場規模を年商別および業種別に集計したものだ。
年商別の市場規模(左)は、「情報系システム」では中堅企業層(年商50〜500億円)と中小・小規模企業層(年商50億円未満)の比率がおよそ1:1だ。
「デジタル接客の取り組み」と「IaaS、ホスティング」では中堅企業層の比率が高く、逆に「ネットワーク機器」では中小・小規模企業層の比率が高かった。
一方、業種別の市場規模(右)では、全ての項目で一般サービス業が占める割合が高い。ノークリサーチは「これは一般サービス業の企業数が最も多いことが主な要因だ。ただし、IT商材やソリューションによっては市場規模に占める比率が変化する点に留意したい」と指摘する。
以下のグラフは、「業務アプリケーション」カテゴリーに属する5項目の年間IT支出額を抜粋したものだ。
一方、以下のグラフは「業務アプリケーション」カテゴリーに属する5項目の導入割合(投資意向)を尋ねた結果を中堅・中小企業全体で集計したものだ。
「業務アプリケーション」カテゴリーの中で、「基幹系システム」は、導入割合(投資意向)では最も高い値を示したが、年間IT支出額では全ての年商帯で他項目よりも値が低くなった。
ノークリサーチはこの理由を「『基幹系システム』は新規導入よりも更新や刷新が多くなりやすいことが主な要因だ」とみている。
そのため、「ITベンダーが新規の顧客開拓に取り組む際は、導入率は高いが更新や刷新が多い『基幹系システム』の代替として、導入率は低いが新規導入を見込める『その他の業務システム』を選択した方が良い場合もある。市場規模は『企業数』『導入割合』『支出額』の積算で決まるため、この3つのパラメータの傾向を把握することが重要になる」と指摘する。
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