Microsoftのサプライチェーン強靭化基盤 Microsoft Supply Chain Platformとは

Microsoftが「Microsoft Supply Chain Platform」を発表した。サプライチェーンのデータ資産への投資効果を最大化できるように支援するサービスだとしている。

» 2022年11月15日 13時19分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 Microsoftは2022年11月14日、「Microsoft Supply Chain Platform」を発表した。Microsoftはこの発表を「ユーザーの効率性とアジリティの向上を支援するというコミットメントに向けて、大きな一歩を踏み出した」と説明する。

「Microsoft Supply Chain Platform」とは

 Microsoft Supply Chain Platformの狙いは、サプライチェーンのアジリティとレジリエンス強化にある。

 サプライチェーンのコマンドセンター「Microsoft Supply Chain Center」を提供する他、今後は「Microsoft Azure」や「Dynamics 365」「Microsoft Teams」「Microsoft Power Platform」と組み合わせて、ユーザーが自社のサプライチェーンのニーズに応じた機能を開発したり、独自に選択したりできるように支援する計画だ。自社のERPやサプライチェーンソリューションの他、Blue YonderやCosmo Tech、Experlogix、Flintfox、inVia Robotics、K3、O9 Solutions、SAS、Sonata、To-Increase Softwareとの連携は今後も継続する。

サプライチェーンのコマンドセンター「Microsoft Supply Chain Center」

 Microsoftは既にSupply Chain Platformの中核となる「Microsoft Supply Chain Center」のプレビュー版を米国で公開している。

 Microsoft Supply Chain Centerは、サプライチェーンに関わるシステム間のデータを「Dataverse」で接続して可視化し、企業を横断してオペレ―ションを最適化する。Dynamics 365の他、SAPやOracleなどの他社ERP、その他のサプライチェーン管理システムが持つデータを「調和するためのコマンドセンター体験」を現場担当者に提供するとしている。併せて、同社パートナーが持つド各業界のメイン知識もこのプラットフォームに集約してエコシステムを形成する計画だ。

 Dynamics 365 Supply Chain Managementユーザーであればライセンスや機能を追加しなくてもMicrosoft Supply Chain Centerを利用できる。

 Microsoft Supply Chain Centerには次の機能が盛り込まれる。

  • Data Manager

 データの取り込みとオーケストレーションを実行し、サプライチェーン全体に可視性を提供し、実行システムにおける適切なアクションを促進する機能。プレビュー期間中はローンチパートナーであるC.H. Robinson、FedEx、FourKites、Overhaulが提供するデータを利用できる。

  • 需給インサイトモジュール

 AzureのAIモデルを利用したサプライチェーンの需給における製薬や不足を予想する。在庫の平準化や発注ミス防止に役立つ。需給に影響を与える外部イベントのニュースアラートを提供する「スマートニュースインサイト」と組み合わせて高度な需給調整を実現する。

  • オーダー管理モジュール

 フルフィルメントの調整機能。受注状況と在庫、配送の最適化をリアルタイムで把握し、ルールベースのオペレーション自動化を支援する。 Dynamics 365 Intelligent Order Managementのユーザーはライセンスなどの追加なしですぐに利用できる。

  • Teamsとの統合機能

 セキュリティを確保した上で、外部サプライヤーとのコミュニケーションを迅速化する。トラブル対応や情報連携をスムーズにすることで突発的な調整への対応力を強化する。

  • パートナーモジュール

 パートナー企業が提供する特定ソリューションのデータをSupply Chain Centerに組み込まれた機能として利用できる。Overhaulが提供する貨物可視化データなどが該当する。

図1 Microsoft Supply Chain Centerのイメージ(出典:MicrosoftのWebページ)

 Microsoftのチャールズ・ラマナ氏(ビジネスアプリケーション プラットフォーム担当 コーポレートバイスプレジデント)は、同プラットフォームに対して「企業は、レガシーシステムやERP、サプライチェーンマネジメント、個別ソリューションにまたがるペタバイト級のデータを扱っており、サプライチェーンの断片的な視点のみを得ている。サプライチェーンのアジリティとレジリエンスは、関連する全てのシステム間のデータ連携とオーケストレーションの効率に大きく依存する。Microsoft Supply Chain Platformと『Supply Chain Center』により、企業は既存の投資を最大限に活用し、適切な洞察を得て迅速に行動できるようになるだろう」と述べる。

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